新年だ。
外を歩いていると、静かながらも楽しそうな雰囲気が伝わってくる。
走り回って笑う子供。
初詣にでも行くのか、全員揃うことが久々のような雰囲気の家族。
落ち着いているけれど、しっかり手をつないでいる夫婦。
コンビニのはしで、兄弟が身を寄せ合って何かをのぞき込んでいる。
肉まんを美味しそうに頬張る彼女を、楽しそうに眺める彼氏。
それだけのことで、もしかするとこの世界は美しいのかもしれないなどと、単純に気が変わってしまった。
今年はよい年になりますように。
あたたかい手のひら。
細くてかたい指。
爪の感触が好きで、何度も撫でる。
パズルのように組み合わせた指。
指の間にかかる圧力が心地良い。
君がくれる、大好きな贈り物。
「手のひらの贈り物」
心の片隅で、本当の優しさを信じる。
心の片隅で、純粋な優しさを疑う。
心の片隅で、世界を憎悪する。
心の片隅で、あいつに嫌なことがありますようにと祈る。
心の片隅で、もう会うこともないあの子の幸せを祈る。
心の片隅で、黒いしあわせを抱いて泣く。
心の片隅で、もう二度と味わえない空気を吸う。
心の片隅で、眠っている原石に布団をかける。
心の片隅で、今日がはじまったと嘆く。
心の片隅で、今日がはじまったと歓喜する。
心の片隅で、誰かのしあわせを願う。
心の片隅で、
冬になると、思い出すことがある。
小さい頃。
これくらいの季節になると、大抵は足が氷のように冷えていた。
冷たいフローリングをぺたぺたと、おてんばに駆けずり回っていたからだろうか。
単に冷え性だったからだろうか。
そんな状態で布団に入ると、同じ布団で寝ている母に「つっめた!!!」とよく言われたものだ。
けれども氷のような私の足を、母は自分の足をくっつけてあたためてくれた。
当時はあったかいなぁ、程度にしか感じていなかったが、今になったら分かる。
それがどれだけ、あたたかなことか。
ぬくもりの記憶
寒い。
昼休み、しんとした別棟の教室で、一人お弁当を食べる。やはり母の作る飯はうまい。
コートを着てはいるが、指や首の隙間から冷気が押し寄せてくる。小刻みに震えが来る。みじめだ。
全部、自分のせいなのだけども。
友達を作ることも、自分を誇ることもできない、半端者の自分のせいなのだけども。
けれど、自分の人生を楽しくするのも、つまらなくするのも、全部自分だから。
変わってみせる。
絶対こんな自分、変えてみせる。
楽しい人生に、してみせる。
そう決心して、私はハンバーグを頬張った。