まふゆ

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6/15/2023, 3:11:19 AM

ふと、首筋に冷たいものを感じた。
『しまった、今日に限って傘を忘れてしまった。』
そう思ったときにはもう、私の体はずぶ濡れだった。

狐の嫁入り、というのは、太陽がしっかり顔を出しているのにも関わらず雨が降っていることを指す、と私は認識している。所謂お天気雨である。

しかし今日はそうではなかった。

朝は晴れていたのに、それから段々雲が出てきて、いよいよ雨が降りそうだというほど空が陰ってきたと思ったら、また晴れ間が差す。晴れなのか、曇りなのか、雨なのか…あまりにも、あいまいな天気だった。

考え事をしながら歩いていれば、もうすぐ家に着くという所まで来ていた。空は変わらず晴れない。雨のまま。

今日はもうずっと泣き続けることにしたのだろうか、鍵を回してドアを開けた。

途端に、周囲が静かになった。

あれだけ降っていたのに、雨が上がってしまった。見上げると、所々に光芒が見える。

『…いくらなんでも、天邪鬼が過ぎないか』

私は苦笑しながら、濡れた体を温めるために家の中に滑り込んだ。

その後はずっと、晴れだった。