わたしが消えても許すことができないあの人と
交わした最期の会話は覚えていない
口も聞きたくなく姿も見たくなくずっと避け続けて
でも最期の最期　
あの人が消えるとはっきりわかった時に
思わず出た

許してやる

それがわたしからあの人への最期の贈り物になった

あの人はもう声を出せず　ただ涙を流した

「最後の声」

暑い暑いと言いながら半袖やノースリーブで歩く人々
それを横目に見ながら日焼け止めを塗りUVカットの上着と腕カバーをして日陰を探しながら歩くわたし
夏は始まったばかりなのにラスボスとの戦いのように重装備で固めなければどこへも行けない


「空はこんなにも」晴れ渡っているのに

将来なりたい職業で子どもが言いそうな憧れそうな仕事には就けたけど
わたしが本当に欲しい物　欲しかった物はまだ
手に入れてない
他人から見たら恵まれているのかも知れないけれど
みんなが持っていてわたしが持っていない物もたくさんある

「子供の頃の夢」

わたしの小さな世界
その中の限られた大切な人や物事
その全てに無くなって欲しくない
いつも側にいて安心させて欲しい


「どこにも行かないで」

いつも後ろ姿ばかり見ていた

わたしを置いて行くあの人に追いつきたくて
理不尽な事があっても気付かない振りをして

隣を歩きたかったけど歩かせてもらえなかった



「君の背中を追って」