9/6/2025, 7:01:32 PM
冬の朝
やかんに水を入れて古ぼけたストーブの上に乗せ
火を点けるのは教室に一番乗りした人の役目
冷え切った広い部屋で凍えながら教科書とノートを開き やっと暖まり始めると
狙い澄ましたように二番手が登校してくる
「誰もいない教室」
9/5/2025, 11:58:06 AM
いつも黄色から赤になりたてに引っかかってばかりいるのに
離れたくない想いを無視するように帰り道だけスイスイ進む車
ずっと赤ならいいのに
「信号」
8/31/2025, 12:17:14 PM
約336時間振りの2人で過ごす時間
あっという間に6時間過ぎ 眠って起きたらタイムリミットまであと2時間
離れて気づけばまた逢えるまで約332時間
「8月31日、午後5時」
8/23/2025, 12:47:15 PM
静寂の映画館から眩しいロビーに出ていつの間にか暗闇が訪れている外へ
昼間の熱が冷めないままの車のエアコンを最大にして当てもなく発車する
声がちゃんと聴こえるようにBGMは小さめにしているけれど眠いあなたはお喋りしない
代わりに大雨を予告する音が微かに聴こえ始めた
「遠雷」
8/19/2025, 12:40:04 PM
辛い過去を乗り越えて今を手に入れて
それでも幸せな自分が信じられなくて
いつまでも続いて欲しい気持ちと
いつまでも続くかどうかの不安と
一緒にいる時間の温かさと
一緒にいられない時間の寂しさと
単純な複雑な感情がごちゃまぜになって
涙が溢れる
「なぜ泣くの?と聞かれたから」