“ この電車は 楽園 行きです。
途中の駅には止まりません________
この電車に乗ってどれくらい経っただろうか。
電車の中には僕の他に数人しかいない。
暇つぶしに持っていった本も読み終わってしまったので、物思いにふけっていた。
そしてとうとう僕はある考えに至った。
“ 電車のちっぽけな椅子に一人座っているだけで
本当に僕の望む 楽園 に着くのだろうか。” と。
でも、そんなのもう遅い。
列車ががたんと大きく揺れた。
#楽園
ふとした時に君のことを考えている自分が嫌。
目が合った時にドキッとして目を逸らしてしまう自分が嫌。
君のことを独り占めしたいと思う自分が嫌。
君と僕が結ばれてもいい世界線なら
こんなこと考えなくて済んだのかな。
夢でまた会えますように、と願いを込めて目を閉じた。
#ここではない、どこかで
‘’ 夏を探しにいこうよ ”
と君は言った。
確かに、桜はもう緑になってしまったし、
気温も以前よりかは暖かくなってきた。
でも ‘’夏” と呼ぶにはまだ早い。
それでも探しにいきたいという君が
僕の手を引いて行く。
ああ、今日は雲ひとつ無い快晴だ。
#快晴
君は山を登るのが好きだった。
“空がよく見える!” ってはしゃいでいたっけ。
でも、今日は一人で山に登っている。
君との思い出を思い出していたら
あっという間に頂上まで来た。
上には空が、下には崖がある。
じゃあ、 ‘’下” に行けば ‘’上” にいる君に会えるのか
と一瞬考えたが、思考を止めた。
明日はどんな空が広がっているのかな。
#遠くの空へ
ただ、君の目を見つめる。
決して目は合わないけれど、
君の目を見つめるだけで幸せになれる気がして。
君の目は優しくて心地良いけど、どこか冷たい。
そんな君の目が好きだ。
君の目に映る私はどんな顔をしているのか。
なんてことを思いながら_____
#君の目を見つめると