ふいじ

Open App
9/13/2024, 1:52:33 PM

夜明け前


よるがあけるね


ささやき声にめをひらく
まだなにもみえない


それでも いいよ







まぶたに震えた

みずをふくませ滲んだひかり

あなたのこえは
よあけまえの潮音







だれもいない よあけにいきたいのに

9/12/2024, 12:36:02 PM

本気の恋

恋ですらなかった

でも好きだった


それだけ

9/11/2024, 10:08:44 AM

カレンダー

おばあちゃん家のカレンダーが好きだった



ふたつの膝小僧をながめながら、ふとそう思った。
ああ、むだ毛が生えている。剃らなきゃ。

いやいやそうじゃなくて。


おばあちゃん、元気かな
最後に会えたのは、いつだったか。お正月には会いたいけど、多分仕事だろうな。今年も無理かな。

嫌だなあ、なんでだろ。なんでだろって何がだろ。



子どもの頃に戻りたい。
おばあちゃん、優しくて、温かくて、料理の上手なおばあちゃん。
大好きなおばあちゃん。

あの頃だって近くに住んでたわけじゃなかったけど、お正月や、お盆の時期には毎年会えた。
お庭を自由に走り回って、畑の土の温かさを手のひらに感じて、夜には必ずおばあちゃんと一緒にお風呂に入った。
朝起きたら脱衣所のドアに掛けてある日めくりカレンダーを、一枚だけめくるのだ。
大したことじゃないのに、おばあちゃんは絶対に褒めてくれた。

ありがとうねぇ、気がきくねぇ

それが照れくさくて嬉しくて、明日もめくるから帰らない、なんてわがままを言っては両親を困らせた。




あしたは、なにがあるのかな

たのしいことがあるのだ、うたがいなどしない

あの頃にかえりたい

カレンダーをめくりたい。


9/10/2024, 2:18:48 PM

喪失感

何かはっきりとしたもの失ったわけではなく
なにか変わったことがあったわけでもなく

けれど

いつからか 自分が自分で無くなった ような

落ち着かなさが

それを支配するようになりました


さみしくて さみしくて さみしかったから







軈て だれかが もっていって しまったのだ と
想うことにしました

きえてしまったのでは

いしころになってしまったのでは


あまりに あまりに あまりにも


くるしいことにおもえた