花の香りと共に 2025.3.16
肌寒い午後の待ち合わせ
スプリングコートを着てこればよかったなぁとつぶやく
一緒に桜を見ようと約束したが
気がつけば満開を迎えていた
遠くから歩いてきて手を振る彼の頭に花びらがある
花びらなんか付けちゃってと笑みがこぼれる
花の香りと共に現れた彼に春を感じた
花の香りと共に 2025.3.16
ミモザが好きだったあなたは
毎年、庭先に咲いたミモザを「お裾分け」と
届けてくれた
よく喋り、よく食べ、よく笑う人だった
主人がいなくなった庭に
たわわに咲いたミモザを見ると
花の香りと共に思い出す
元気でいますか?また会いたいです
心のざわめき 2025.3.15
仕事帰りに寄る図書館で
仕事帰りであろうあなたがいた
入社して間もない私は
先輩から読むように言われた本を探す
カウンターに向かう途中の椅子に
あなたはいた
背が高く少し座りにくそうだが
本を持つあなたの手が指先が
とても綺麗で見惚れてしまった
何を読んでいるのか知りたくて
そっと近づいた
今日は隣に黒髪の綺麗な人がいる
いつもはひとりでいるのに
顔を近づけてひそひそと話をしている
あっ、こんな風に笑う人なんだ
心がざわめく
本を選ぶ気になれず足早に立ち去った
君を探して 2025.3.14
30年前に訪れた場所
思い出が鮮やかによみがえる
初めて手を繋ぎ
顔を見合わせ笑い合ったあの日
川沿いのベンチに座り語りあったね
あの日と変わらない風景の中
あの日の2人を、あなたを探してしまう
いるはずないのにね
透明 2025.3.13
青く透明な空が好きだ
流れるような雲を眺めて
爽快な気分になる
旅に出たい
家族や友人と過ごす時間も好きだけど
ひとりただ空を眺めて過ごす時間も大好きだ
終わり、また始まる、 2025.312
一年が終わろうとしている
春
おうちの人と離れるのが寂しくて毎日泣いていた子
夏
水遊びが少し怖くて遠くから眺めていた子
秋
初めての運動会 初めてのかけっこ
冬
雪が降る空に向かって北風小僧の寒太郎を歌い出す子
この時期はみんなの成長が嬉しい反面
送り出す寂しさが込み上げてくる
そして、桜が咲く頃
また一年が始まる、