9/6/2024, 7:19:17 PM
水面に吸い込まれていく赤い水滴。
浴槽に張り巡らされた水にゆっくりと広がっていく赤。怜は朦朧としながらも、恋人のことを想っていた。
玄関から鍵の音がする、ただいまと帰ってきた正人は、ドタバタと足音をさせながら怜を呼んで、寝室にいないことを確認すると、すぐに事を察して風呂場へ向かう。
正人は怜を見つけると意識があることに安堵して、急いで風呂場から連れ出した。濡れて冷えた体をバスタオルで軽く拭き、傷の深さを確認して慣れた手つきで手当てする。震える怜を何も言わずに抱きしめる。
ごめん。もうしないよ。もう終わりにしよう、俺たち。と切り出したのは怜だった。
正人は頷くことしか出来なかった。