初恋の日
小さい頃、週末にいつも家に来る親戚の叔父さんがいた。
私の両親はあまり子宝に恵まれずようやく生まれた一人娘が私だった。
そのせいもあってか私はとても可愛がれ子供扱いされて育ってきた。
小さい頃の私はそれが嫌でいつも大人ぶっていた。
私が小学校に上がってすぐのある日
いつものようにおじさんが家に来たのだが
その日は少し両親が忙しくしていて私は叔父さんと二人で遊んでいた。
私は私のことを唯一大人として一人の女性として扱ってくれる
叔父さんが大好きだった。
その日はお姫様ごっこをして遊んでいた。
私と叔父さんが両手を繋いでくるくる回るというもので
小さい頃の私はそれを「ぶとうかいのだんす」と呼んでいて
叔父さんとそれをするのはその日が初めてだった。
最初は普通に遊んでいたのだが途中で一度
足を踏み外してしまい転びそうになってしまった。
その時だった。
転びそうになった私を叔父さんはすっと上に持ち上げ
お姫様抱っこをして優しく笑いかけ
「大丈夫かい?お姫様?」
と言ってくれた。
きっとあれが私の初恋だったのだと思う。
月夜
昨日は満月だった
だけど私は見なかった
だって私は十六夜のほうが好きだから
これから欠けていくことしかできないのに
満月よりも綺麗と言われる十六夜が
とても美しく散っていった
あの子にとても似ているから
欲望
あなたと付き合えた
それだけでとても幸せのはずなのに
あなたが他の人と話すたび
あなたが他の人を見るたび
あなたの話を他の人がするたび
あなたを私だけのものにしたいと
あなたのことを知る人を私だけにしたいと
欲が溢れて私の中を埋め尽くしていく
あぁなんて醜いものだ
君は今
あるアプリを始めたとき、何も分からなくて戸惑う私に
手取り足取りやり方を教えてくれて助けてくれた君。
段々と会うことが少なくなっていって
気づけばもう会わなくなってしまったね。
君は今何をしてるのかな、性別も年齢も何もわからないけど
君がいま幸せにしていたらいいなってずっと願ってるよ。