『帽子かぶって』
帽子が似合わない。
壊滅的に似合わない。
頭の形というより大きさか…とにかく、かぶると変、その一言に尽きる。
オシャレアイテムとしての帽子は、もうとっくの昔に諦めてしまった。なので、私にとって帽子は防寒着、雪かきの相棒となった。
今年はあまり雪かきの必要がない穏やかな冬だ。それでもこの先、雪が積もる日はあるだろう。
それまでお休み、私の帽子。
『暗がりの中で』
真っ暗闇の中に色とりどりの淡い光が灯っていて、その中を仄かに発光する錦鯉が自由に泳ぎ回っている。
踊るように。
歌うように。
楽しげに。
時に、迷ったように。
狂ったように。
あるいは、悲しげに。
でも、力強く、逞しく。
サカナクションを聴く時の私の中にあるイメージ。
『忘れたくても忘れられない』
好きだったの。
私なんかに振り向いてくれるはずないってわかっていても言わずにはいられないくらいに。
貴方にも忘れられない人がいるって知っていたのに。
私はあの人とは似ても似つかないのに。
あの日、貴方に抱きしめられて優しく口づけされたこと、一生忘れられない。
例え貴方に気持ちがなかったとしても。
『心の灯火』
もう消えてなくなりたいと四六時中思っていた頃、それでもあと一歩を踏み出さずにいられたのは本と歌があったからだった。
「ハリー・ポッター」「ダレン・シャン」「守り人」「ナルニア国物語」etc.…続きを読まずには死ねない!と本気で思っていた。例え憂鬱の元凶が隣に居たとしても歌を歌うことが何より楽しかった。あの頃の私が私であるためにいちばん大切だったもの、消えてなくならないための大事な灯台の明かり。
『目が覚めるまでに』
暖かく柔らかで滑らかな寝具、私の安全基地
私の部屋の私の布団のにおい、私の巣穴のにおい
微睡みの中で聴くカッコウの声、あなたはいったいいつ息継ぎをするのだろう
ああ、喉が渇いたな
そうやってやっと私の瞼は上がり、世界をその目に映す