snowsiou

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10/22/2023, 11:00:45 PM

空いた電車に乗って出掛けたとき。
向かいの席に座るお姉さんの旅行カバンから、視線を感じた。
おや。
鞄のフチに、白い小鬼が腰掛けている。
これからの道程を思うのか、楽しそうな目だった。
こちらは、冬に備えるコート。
対して、春物スカートのお姉さん。
そうか、大きく巡る渦のなかでも、分岐を察して乗り換えるんだね。
小鬼が、ではまた、と手を振った。


【衣替え】

10/20/2023, 8:20:33 AM

この季節になると、金木犀の香りを楽しむいろんな物が店頭に並びます。
スキンケアグッズに入浴剤、アロマキャンドル、お茶やお酒も。
黄色は幸運に近い認識も持たれるので、集めて陳列すると映えますね。
わたしは近付きません。
どうもあの匂いは苦手で。

【すれ違い】

10/18/2023, 8:48:44 AM

食器洗いの最中に、よく思い出す。
あと、洗髪中。
詳細がよみがえる前に、ごめんね、って何度も言う。
もう許されているかもしれないけど。
ごめんねの印象の友人が数人。きっと、今後も会わないね。

【忘れたくても忘れられない】

10/17/2023, 3:31:37 AM

原稿用紙の最初のマスって、上から光が落ちてくる感触があった。その後の30枚について、脳回路を照らすような。

でも、ワープロ使うようになると、その光は遅れて見えるようになった。プリントしたものを見返すほどに、修正点が浮かんだ。

今、パソコンになったら、完成体が分からなくなった。

高校生のころみたいに、また上を見る。


【やわらかな光】

10/13/2023, 4:48:19 AM

教室を出ると、ルカリオが待っていた。
部活を引退したばかり、という時季でもないけど、やっぱり一緒に下校する。
本屋で赤本を眺めたり、予備校の料金表を調べたり、不安と夢を共有して、順当に受験生になっていく感じだった。
「最近のニュースはさ、見ていられないね。あんなに人が死んでいるのに」
ルカリオのつぶやきに、何度も頷く。
ウクライナも、イスラエルも、収束の影は見えない。非力な俺たちは、なんの役にも立たない。そんな気持ちにも、慣れたくないのに。
「俺さ、いつか、圧倒的に強くなりたいな」

ドダイトスに進化した瞬間に思い出したのが、何故かこのやり取りだった。
そう告げたら、ルカリオはゲラゲラ笑った。
「もう強いからさ、俺たちは」
別の景色が、見えそうだった。


【放課後】

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