教室を出ると、ルカリオが待っていた。
部活を引退したばかり、という時季でもないけど、やっぱり一緒に下校する。
本屋で赤本を眺めたり、予備校の料金表を調べたり、不安と夢を共有して、順当に受験生になっていく感じだった。
「最近のニュースはさ、見ていられないね。あんなに人が死んでいるのに」
ルカリオのつぶやきに、何度も頷く。
ウクライナも、イスラエルも、収束の影は見えない。非力な俺たちは、なんの役にも立たない。そんな気持ちにも、慣れたくないのに。
「俺さ、いつか、圧倒的に強くなりたいな」
ドダイトスに進化した瞬間に思い出したのが、何故かこのやり取りだった。
そう告げたら、ルカリオはゲラゲラ笑った。
「もう強いからさ、俺たちは」
別の景色が、見えそうだった。
【放課後】
10/13/2023, 4:48:19 AM