今年、新しい仕事に就いた。
受注データを右から左へ流す業務に飽きて、在宅WEBデザイン系に乗り換えた。
クリエイティブなことって、絶えず勉強。
トレンドも社会情勢も留まらない。加えて、制作ツールもどんどんアップデートされていく。
そんで、どこの会社もだいたい当てはまるのが、異動ありで仕事している「正社員」は、この業務のスペシャリストになる必要はなく、場当たり的に舵取りするばかり。わたしたち「派遣社員」は、たいして説明されない全体像を探りながら、「正社員」の素人意見を具現化していくしかないんだよなー。
でもまあ、総括すれば、楽しく働けた年でした。
ランランルー。
【1年間を振り返る】
休日の朝食時、夫が「しなもそ」と口走った。
わたしは、「ああ、つなもそ」と返す。
娘が小学生のころ、怒涛の商品展開を繰り広げていたサンリオキャラクターの、シナモロール。ふんわりとした水色の背景に、綿あめみたいな白い小犬がニコニコしている、あれだ。
女の子向けには赤やピンクの文具が大半だった時代に、パステルブルー系の小物は広く受け入れられ、学校の掲示物にも頻繁に登場していた。
覚えたてのカタカナで。
「シはツと似ているよねー」
「ソとンも似てるんだよー」
シナモン味のチュロス(賞味期限は昨日)を食べながら、そんな思い出。
【夫婦】
母親に末期がんが見つかった。
いろいろな治療法を調べたが、本人の希望はただひとつ、「痛みを遠ざけながら穏やかに終わりたい」というものだった。
しかし同時期、妹にも脳腫瘍が見つかる。彼女には生まれたばかりの子供がいた。
母親は、自身の治療法を改め、抗がん剤を選んだ。妹が無事手術を終えて、子供のもとに戻るのを見届けたいと願ったからだ。
妹はほどなく快復した。
母親は安堵したものの、その後、抗がん剤の副作用に苦しみながら逝去した。
脳に、他人の手が入ると、感情の発露が変わるという。
全快した妹は、ヒステリックになった。
「穏やかに」の望みは消えつつある。
※義実家の話であります。
【はなればなれ】
ここしばらく派遣社員をやっています。
長くて3年、短期で半年、いろんな企業を転々として、いろんな仕事をちまちま片付けてきました。
契約満了で去るわたしに、送り出す人たちは「またどこかで会えるといいね」と言ってくれた。おそらく、会うことなんてないけどね。
でも、テレビなんかで、かつての通勤路の辺りを見たりすると、懐かしさと共に、ふと思います。
やっぱ会いたくねーな。
たいした仕事しない●●とか、ハラキャラの●●とか、(以下略)
【また会いましょう】
閉じてはダメだ。
今は、飛ばなくていい。
でも、とにかく、開いておけ。
いいな?
黄色い口たちがかすかに頷くのを見て、両親はまた飛び立つ。
もう巣立ちは近い。この温まった家を出たら、強者だけの世界なのだ。
柔らかなその羽が、空を統べる日が来る。
さあ、開け。
「腹へったー」
「腹へったー」
※ツバメをイメージしてます。
【飛べない翼】