母親に末期がんが見つかった。
いろいろな治療法を調べたが、本人の希望はただひとつ、「痛みを遠ざけながら穏やかに終わりたい」というものだった。
しかし同時期、妹にも脳腫瘍が見つかる。彼女には生まれたばかりの子供がいた。
母親は、自身の治療法を改め、抗がん剤を選んだ。妹が無事手術を終えて、子供のもとに戻るのを見届けたいと願ったからだ。
妹はほどなく快復した。
母親は安堵したものの、その後、抗がん剤の副作用に苦しみながら逝去した。
脳に、他人の手が入ると、感情の発露が変わるという。
全快した妹は、ヒステリックになった。
「穏やかに」の望みは消えつつある。
※義実家の話であります。
【はなればなれ】
11/17/2022, 3:47:02 AM