10/29/2022, 1:46:45 PM
宝くじを買い続けている。
一人娘が私立中学の受験を決め、それまでのパート収入だけじゃツラいと思い立った日、ロトの数字を選んだ。
億で当たれば、学費を超えて余裕を持てる。
広い家なんぞはいらぬから、単調な労働から離れて、自由に学びを得たいと望んでいた。
しかしまあ、当たらない。
娘は私立中学から私立高校へ。
夫は転職したものの、体調を崩して退職。
今当たってくれたらと涙する日々があった。
そして、娘は大学へ。
ここで当たったらなあと思いながら、奨学金の手続きをした。
もう13年。
宝くじを買い続けている。
娘は好きなことを仕事にしたし、夫も徐々に社会復帰を進め、フリーランスで好きにやっている。
出ていくお金に感じるストレスは、大きく減ったのだが。
億で当たれば、老後資金を超えて余裕を持てる。
きっと、新しいページが開けるような。
【もう一つの物語】
10/28/2022, 10:30:38 AM
視覚に頼らず、異質を検知。
聞き慣れない音。
心持ちを逆撫でするにおい。
近いのか?
不意に、足裏がぬめる。
何だ?
ああ、いやだ。助けを呼ぼう。
ダン。
ダンダン。
足を踏み鳴らして、周囲に知らせるのだ。
誰か。
ダン。
誰か。
ダンダン。
あ。明るくなったぞ。
「静かにね。あら、食糞に失敗したね。床を拭くから待って。大丈夫、気がすむまで撫でますよ」
※ウサギさんと暮らす我が家の日常。皆が寝静まったあと、足ダンを繰り出す。老齢にかかり、食糞が下手になった。
【暗がりの中で】