私の日記帳
私が忘れてしまえばなかったことになる。
これは誰にも見せなかった。
見せることは出来なかった。
弱みを見せれば淘汰された。
それが私の人生だった。
──いや、世の常であった。
トラウマは消えない。
傷は塞がらないのだ。
隠さなければ死んでしまうのだ。
やるせない気持ち
さみしい。
趣味も、ぬいぐるみも、埋められなかった。
寂しさに苛まれている。
寂しさに打ち砕かれている。
本当に寂しい時、会いたい人でしか、
その穴を埋められないと知ってしまった。
こうして感情を文字にしても埋めることは出来ない。
いつまでも胸が痛い。
いつまでも胸が苦しい。
それでも助けを求められない。
なんて愚かなのだろうか。
耐え続けるだけなのだ。これまでもこれからも。
空模様
──まぁいいか、別にもう
馬鹿になろう
手を鳴らして
絡まる哀愁を飛ばして
思い出が私の周りできらめく
自然と笑みがこぼれる
こんな雨も悪くない
神様が舞い降りてきて、こう言った。
──あぁ、神様。どうか、どうか妻を助けてください。
妻に謝りたい。
子育てを任せてしまったこと。
家事をしなかったこと。
多くのことを背負わせてしまったことを
それからしばらくして「手術中」のランプが消えた。
扉が開き、男が話した。
私は、泣いた。
誰かのためになるならば
父も兄も身勝手だった。
そんなふたりに可愛がられて我儘な妹。
共働きで常になにか作業をしている母。
「お風呂洗って」「洗濯物取り込んで」
細かい家事なら誰でもできた。誰もやらなかったけど。
だから私は頑張った。
それが母の為ならば、家族がまわる為ならば。
そのうち癖になっていったこの行動は私を蝕んだ。
主体性なんて皆無に等しかった。
どんなに今が辛くても、人のためになるならと行動した。
自分の話なんてできなくなった。
──きっと大丈夫。全部こなしてみせる。
それがみんなの望んだことだから。私に求めることだから。
それがきっと、みんなと私を繋げてくれる。