「やばい、グレートキンググリズリーに見つかった、逃げるぞ」
いつもと違う北のゼンの木の森へ4人で狩りに出かけだが、知らぬ間に奥に行ったようだ。
会うことの無いはずのグリズリーに見つかるとは
トルン「バラバラに逃げて、いつものうろの木がある場所で集合だ」
クレイ「俺はグレートキンググリズリーの気を引いて北へ行くからお前らは散開して逃げろ」
アン「クレイは大丈夫かな」
トルン「あいつなら近距離転移が出来るから、例の谷を渡れば逃げ切れるはず」
ミーハ「え~100ヤールはあるよ、ギリギリだよ」(1ヤールは1メートル)
トルン「谷を突き出たゼンの木から飛べば大丈夫だよ」
グリズリーの気を引いては時々見ながら、引き連れてゼンの木まで逃げ、枝から短距離転移で谷を飛び越え、後ろを振り返えると
グリズリーは情けない声で俺を呼ぶように「クオーン」と声を上げた
「クオーン、クオーン」
その時コウの森の入り口で助けた子熊を思い出した(コウ(南)の森での事なのにゼン(北)の森で会うとは)
12才の時、教会で神託を受け、転移魔法(小)と治療魔法(弱)、水魔法(少)の三属性を授かった(三属性は珍しいけど小と弱は最低)あと、コウ(南)の森で転移魔法の練習中にケガをした子熊を見つけ、練習がてらにヒール(弱)を魔力が尽きるまでかけ続け、気を失っていたら、顔を舐められて目が開き、その後ビーと名前を付けて一年ほど遊んだけど会えなくなり森から居なくなった欠け耳の子熊を思い出した。
(まあ、そのお陰でヒール(弱)から(小)にランクアップしたからいいけど)
あのグリズリーも欠け耳だ、ビーと呼んだら気がつくかな
「ビー」
僕達の居る町は王都と領都を結ぶ基幹道から逸れた小さな脇道のそばにある初級ダンジョンと希少な薬草が取れる南の森、それと北の森ダンジョンでスキルの巻物を見つけて、ランクアップ(と言ってもLv 15が最高)と生活手段の薬草採取の為、初中級までの冒険者が集まった町(村だと思う)です、少しの貯金とLv 15になったら王都か領都へ行ってしまうのでいつも若者か少し草臥れたおっさんが居すわっています。
僕達はこの町(村です)育ちだから宿代や食事にも実家があるので費用はメイスのメンテぐらい
メイスを頻繁に使うほど魔物に出会う事も出ないし
たまには手入れしてくれるドワーフの鍛冶屋も近所付き合いだから割安だし
ふだん行く南の森の薬草も戦争でもない限り奥まで入ってたくさん取らなくても贅沢さえしなければ生活はやって行ける