地味な男の子
それが第一印象
いつも教室の片隅か図書室で
ひとり静かに本を読んでる
絵にかいたような陰キャ
あたしは、自分で言うのもなんだけど
クラス女子で上から
3~5番目くらいかな
たぶん周りから見たら
上位の女子と男子は
キラキラな青春を送ってる
まぶしい存在
だから
あたしが好きな
よしもとばななを読んでるのをみて
たまには日陰に
あたしが光を届けてあげよう
なんて思って
それ面白いよね
って話しかけてみた
なのに
長い髪のあいだから
あたしを見上げた
あなたの目が
すごくすごく澄んでいて
それは鬱蒼とした森のなかで
木漏れ日みたいにあふれだす光に
とつぜん照らされたようだった
あたしはその瞬間めまいがして
そして何かに、落ちてしまいました
参拝客に飲み込まれてはぐれたあたしはあなたと出会った
チョコレートをあげて付き合い始めた
クッキーのお返しにあたしをあげた
彼が就職してあたしが21になった
初任給で私に夢の国ホテル2泊をプレゼントしてくれたむりしちゃって
家でゴロゴロしてすごしたしあわせ
恥かしがりながら水着を一緒に選んでくれた
沖縄3泊新しい水着を披露したら可愛くってちょっとセクシーって言ってくれたちょっとだけなのかなしー
お月さまもおだんごもまんまるでかわいかった
さんまこがしたのにおいしいよって言ってくれたごめん
気づいたらハロインおわってたドンキでコス買ってたのに
月曜日に有給とってくれたからゆっくりキレイで甘くてエッチに夜をすごした
あしたで1年だね
たった500円であなたに出会えたからこんどはお礼に1000円あげる
神様サンキュッ
#1年間を振り返る
今まで付き合ってきた彼氏たち
冬になると優しい彼らは
みんな手ぶくろをプレゼントしてくれた
ありがとって、いつも喜んでもらってた
でも、ゴメンネ
あたしホントは手ぶくろキライなの
あたしの手は
あなたの手で
あたためてほしいんだもん
クリスマスイブってのはな
邪教の神による
人類をふた組に分断する陰謀じゃと思っておる。
イ組とブ組じゃ。
わしはおまえのばあちゃんに出会うまで
ブ組に35年もおったんじゃ。
まぁそのあと何度かイ組だったことがあるのは
ばあちゃんには内緒だぞ。
ん?イ組とかブ組ってなに、じゃと?
イ組はイロ男とイロ女がイロっぽい夜を過ごして
ブ組はブサイク男とブス女がブザマな夜を過ごすってごとじゃよ!!
そんな話を
幼稚園児のあたしに語った祖父は
クリスマスイブの夜に
他界しました。
恥じらいながら彼女は言った
私からのプレゼントを受け取ってくれる?
彼も言った
俺からもプレゼントあげたいんだ
2人は微笑みあった
そして 次の瞬間
自分で自分の胸に腕を突っ込み
心臓をもぎりとって相手に差し出す。
彼らは歓喜に満ちた表情でそれを貪り食う。
12月24日の夜.悪魔の世界で
よく見かける情景である。