【きっと明日も】
「おら、走れ走れ」
容赦のない先輩魔術士に脅されて、必死に前に進む。息が上がり、喉がひりつく。手足が縺れて転びそうになった。
「おれ、まじゅつ、し、なのに。なんで」
どうして走り込みなんてさせられてるんだ。
「そんな体力なくて遠征なんか行けるかよ」
「おいこら、歩くな。走れって言ったろ」
「魔獣は待ってくれねぇぞ」
「止まるな、死にたいのか」
もう無理、動けない。
口から心臓出そう。
まさかこんなのが栄誉ある王国魔術士団の本性だなんて知らなかった。
魔術士の集団って、もっとこう、本とか読んで研究して、不健康そうだけど頭は良くて、塔に引き篭もって出てこない、みたいな感じじゃないのか。
なんで走り込みと筋トレが日課なんだ。
辞めてやる辞めてやると毎日思っている。
昨日も思ったし、きっと明日も思うだろう。
だけどその度に。
先輩の無駄のない美しい魔術を見せつけられ。
英雄と呼ばれた人の逸話を聞かされ。
憧れの団長が顔を見せてくれたり。
よくやってるよ、なんて褒められて。
やっぱり辞めたくない。
そう思うんだよなぁ。
もう一度耳鼻科に行くべきか……
─────────────────
【静寂に包まれた部屋】
『静寂』なんて言葉と縁がなくなってからどのくらい経つだろう。
耳鼻科で異常はないと言われ。薬で一度は落ち着いたものの、すぐにまた再発した耳鳴り。
昼間はまだいい。
何かをしていれば気も紛れる。
寝ようとする頃には、部屋が静かであればあるほどその耳鳴りが気になって仕方がない。
静寂に包まれた部屋が、私には喧しくて仕方がないのだ。本当に、煩わしくて、不快で。
仕方なく、音楽を流す。誰かの声を聞く。
耳鳴りに集中してしまうのをやめることで。
やっと、どうにか。
今の私にとっての『静寂』が訪れる。
【別れ際に】
別れ際に、あんまり寂しくなったから。
つい、言ってしまったの。
「あなたと、一緒に暮らしたいな」
【通り雨】
雨にまつわるお題、多くないですかね……
どうやら私、にわか雨と通り雨を逆だと思っていました。
一度降って止むのがにわか雨
降ったり止んだりが通り雨
……ということのようです。
最近はゲリラ豪雨が増えて、あまり夕立って聞かなくなった気がするんですよね。
気候を表す言葉と実情が噛み合わなくなっていくのは、なんだか寂しく感じます。
【秋🍁】
秋は私にとって、過ごしやすい季節ではない。急速に下がる気温、短くなる日照時間、弱くなる日差し、それに伴って何故か増えてくる憂鬱感、倦怠感、寝不足、頭痛……
冬季うつの可能性アリ?
秋だが?
毎年、秋に体調を崩し、冬には落ち着く。
たぶん、ずっと秋ならまだ良いんだと思う。
夏から秋、の変化に対応しきれない。
夏が好きなわけではない……ないけど、この先寒くなる一方なのだというのもちょっと辛い。
あと、夏野菜好きだから、キュウリとかトマトとかが値上がりしたり、品質が落ちてくるのが悲しい。