4/22/2026, 4:15:39 PM
薄い日差しが差す草原に、一人の人間が歩いていた。
黙々と見つめる足元は一歩踏み出すごとにジュッと泥に沈み込む。振り返れば、どれほど歩いてきたのか後ろには延々と足跡が続いている。
それでも、踏みしめる一歩のなんと軽いことだろう。
吹き荒ぶ風にざわめく草が、ときおり日光を反射して冷たいきらめきを放っている。
そう、日光だ。
星間バスで暗い宇宙空間を行き来していたついこの間まで決してお目にかかれなかった柔らかい光が、目を通して体の隅々まで満ちていくのを感じる。
こんなところまで来られるとは思っていなかった。
3日前、搭乗していたバスが運悪く宇宙開拓時代のデブリと衝突した。機内の生き残りは4人。辛うじて大破を免れた緊急脱出ポッドには3人分のスペースしかなかった。まるで映画のような話だ。
私は残りの3人に、ポッドの使用権を譲った。単純に、事故で疑似電脳デバイスが壊れた私では、宇宙空間で生き残れる確率が低かったのだ。
そうして私は地球に不時着した。
ヘルメットを外せば、キンと凍った風が髪を撫で上げる。風は温度が低いと皮膚を刺すほどに刺激的だなんて知らなかった。
私は、初めて吸う冷たい空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
『たとえ間違いだったとしても』