優しい雨音、遠き世の物語。
昔、ある男がいた。
とても優しい男だった。
何もかも困り果てている人に与え、
遂に男が困り果ててしまった。
「家もお金も服もない」
だが、男は幸せだった。
「これが人生なんだ」
と、笑って死んだ。
とても興味深く無様な男の一生だった。
おしまい。
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Sunrise.
That moment when ordinary days turn into something spectacular.
We are now looking at the sunrise seven seconds from now.
The sun eight minutes ago.
Just as Opportunity took a photo of itself,
let us leave behind our own.
Proof of the moment we lived.
日の出。
何でもない日々が華やかに変わるあの瞬間。
僕たちは今、7秒先の日の出を見ている。
8分前の太陽だ。
オポチュニティが自分を撮ったように、
私達のも残していこう。
生きた瞬間の証を、
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空に溶ける。
今夜はこのまま知らない天井で。
冷たい頬を撫でられて。
「とても悲しそうな顔ね。」
まだ死なないわよ。
『そんだけ強かったのか?』
「まぁ、そこそこね。」
なんでもないフリ。
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まって。
僕の知らない彼女だ。
またないよ。
私の知ってる僕。
彼女は、なんて名前だっけ。
どんな顔だっけ。
彼は『ただいま』と無邪気に笑ってた。
誰が『お帰り』って言うんだろうね。
別にキョーミないけど、
あは、ドボケた顔したお嬢ちゃん。
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まだ知らない世界。
全人類が望んだ科学技術も科学兵器も。
みんな平等に対等であるこの空間。
誰か一人欠けてしまうとミッションは達成しえない。
どんなに小さな光でも希望に変えてしまう。
一つの石。
一枚の写真。
欠けては、いけない大切な資料。
パラボラアンテナが空を向き、光線を集めるように。
小さなその手で切り開いていく未来。
君は誰だい?
科学使いだ。
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