[明日、もし晴れたら海でも行こうか]
と、貴方は言う。
外は土砂降り、本当にやむのだろうか?
「晴れたら日差しがしんどいやん」
[大丈夫やて、日除け対策していき]
「するけどー」
ふふ、と微笑む貴方はキラキラしている。
行きたくない訳では無いが私は少し怖い。
あのキラキラについていけるかな?
攫われそうでなんとも言えない。
私には海が狭く見えた。
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だから、一人でいたい
今は一人でいたい。
誰かを傷つける前に、私は引き篭もる。
暗い部屋の窓際で車の通りを眺める。
「こうやって過ぎてくのかな私の人生…」
ふふ、なんてね
なんにも喋らない猫の人形を突きながら
また考える 私が好きだったあの頃を
また考える 私が好きだったあの人を
また考える 私が好きだったあの空を
でも、今は一人いたい。
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澄んだ瞳、すっと通る鼻筋、
ぷっくりとした頬、艷やかな唇、
彼女はとても綺麗だった。
凛と佇むその姿は、まるで雪解けの春。
私はそんな彼女が好きだった。
彼女が教えてくれた歌、
『猫のおなかはバラでいっぱい』
なんの意味かは、私にはわからなかったが、
彼女の死体を見たのは確か。
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私にはわからないことばかりだより
嵐が来ようとも
私は大丈夫。
準備をしているわけでも無いが、大丈夫。
そう私は大丈夫なのだ。
朝が来て嵐が止むとき私は何かに怯えている。
嵐が怖かった。訳では無いが、
何かに怯えている。
そう私は大丈夫なのだ。
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お祭り、私の旧友が夏祭りに誘ってくれた。
提灯の灯りが辺りを照らし始め、
盆踊りを楽しむ人、お祭りを楽しむ人の熱気がここまで
伝わってきた。
道路の脇に座りながら私たちは眩い光を眺めていた。
何も喋らなくとも伝わる。
『楽しい』
心の底から思えた。
今年の花火が少し楽しみだ。
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