shishido

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1/11/2022, 2:00:55 AM

【20歳】

自分が20歳になった瞬間をよく覚えている。
20回目の誕生日、の前日。
君に家で映画でも見ようと誘われた。
せっかくなら当日に会いたいと思ったけど
なにやら予定があるらしい。
「はい、これ」
僕の誕生日は1月11日。
一足先に成人になっていた君はお酒のようなものと
小さな紙袋を差し出してきた。
中には綺麗なリボンでラッピングされた小箱。
「なにこれ、アクセサリー?」
拳ほど小さく、高級感漂うその箱に
一瞬ドキリとするがすぐにその想像は消し去った。
「開けるのはまだね。日付変わってから」
差し出しといてお預けはないだろうと思ったが
なぜか素直に「あ、うん」と返事をしてしまった。
君はいくつか持ってきたブルーレイを並べて
どれにしようか悩んでいる。
「どれがいい?」と聞かれたが
なんでもよかったので適当に選んで指した。
映画が始まっても視界に小さな紙袋がちらついて
内容は全く頭に入って来なかった。

覚えてるのは
日付が変わった
あの瞬間だけ

1/10/2022, 2:40:08 PM

【三日月】

今日の月は三日月だった。
君を待つ放課後。
することもなく、寒空を仰ぐ。
まだ太陽は沈みきっていない。
白い息が月と重なって雲みたいに見えた。
「あ、三日月」
いつの間にか隣に並んでいた君は
僕よりもちょっと月に近くて
僕よりもたくさんの雲を作った。
互いに歩き出さないまま、月を見つめた。
「綺麗だね」
二人分の雲が三日月を覆った。