真夜中のアイスに触れて霜走る
　　　　　匙の冷たさあの日と同じ

　　　　　　後悔と名のつく愛を抱きつつ
　　　　　　それでも君の幸せを祈る

　衣装ケースからはみ出たセーターを見て、私はため息をつく。
　仕事の忙しさを言い訳に、まったく片付けなんてしていない。とりあえず厚いセーターだけいつものタンスから引き抜いて、衣装ケースにブチ込んだだけ。
　幸か不幸か、有給を取れとのお達しだ。これはもう諦めて片付けするっきゃない。
　せめて、とっておきのハーブティーをご褒美に頑張るかぁ……と重い腰を上げた。

　夢でかつての知人に会った。
「子供のままで、だなんて」
　気まずさはあるのに、幼い姿をした相手はどんどん近づいてくる。
　些細なことで仲違いした相手だった。もう何十年も会ってなかったのに。
「すなおにごめんなさいって言ったらいいよ。許す許さないは、相手が決めることだよ」
　それだけ言われて、目が覚める。
　枕元には未読のメッセージアプリ通知を知らせる携帯端末がある。
「……ごめんなさい、か」
　現在進行系で喧嘩中のパートナーからのメッセージを、覚悟して開いた。