一笑

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9/25/2025, 10:34:23 AM

【時計の針が重なって】

「バーカ。」
と、頭の上で言われた。

僕は、声のする方に
目線を送ったのだが
姿がない...

時計が11時55分を指していた
お昼時だし学食で
何を食べようかと考えながら
教室を出た矢先
生徒指導の先生と目が合い
怒られるのかと身構えたが
僕をかわし、今までいた
教室の扉を閉めて怒鳴り始めた。

耳を澄ますと
「すいやせぇーん」という
声が聞こえ
同じ声だと思った。

姿を見た...いや見惚れていた。
清楚な顔つきで まさに
美男子というような容姿だった
けれど、僕はその人を知らない。
同じ学科なのかも分からない。

次の日も同じ学科なのか
内心、ワクワクしながら
当日を迎えたのだが
スムーズに授業が終わってしまった。

会えないのかと
ため息をついて
11時55分を指してる時計をチラ見をし
席を立ったら 後ろから
声がした。
「バーカ。」

僕はワザと固まった。
12時の鐘の音を耳に入れ
鳴り終えた瞬間振り向いた。

そしたら
あの美男子が手を
こちらに差し出していた

僕が硬直していたことが
驚いて教室内に
隠れることを忘れてしまったのだろう。

「心配した...んだけど」
「お前、俺が声出したら固まったから
心臓が止まって...それで...その...」

ゴニョニョ話していて
最後まで聞き取れなかったが
おそらく、自分のせいでとか
思ってしまったのだろう...

けれどその声と
お腹の音も聞こえ
僕は閃いてしまった。

『お詫びにご飯奢ってくれる?』

「へ...?」

『君のせいで休憩時間が少しなくなったし
それにお腹も空いたから奢り!
一石二鳥でしょ?』

「そんなんでいいのかよ」

『え?じゃあもっと
責任取らせていい...?』

「お...おう!」

『僕と友達になって』

「は...?」

『僕の名前 かずや!
君の名前は?』

「た...くや」

『たくや!ご飯奢れぇ!!』

「っつ!...任せろよ!!かずやぁ!」

時計の針が重なり終わったあとの
僕と君のこれからの学生生活が
鐘の音と共に始まりを迎えた。






男友達の方が
絶対長続きするって
マジで不思議っすよね🤫