風に乗ってふわふわと漂って
優しい香りを運ぶ
泡になりたい

ただいま、夏。

年々夏が嫌になる
気温が高いと出かけるのも辛い
エアコンをつける時間が長いと電気代も気になる

もう少し春と秋が長くなればなぁ

ぬるい炭酸と無口な君を連れて
夜のドライブをする

最近は色々と心労が重なり
外出を嫌がるが
仕事と家の往復では気持ちも萎えるだろう
おせっかいとは承知のうえで
無理やり連れ出した

余計なアドバイスはせず
ポツポツ話す君に耳を傾けるだけ
少しでもスッキリすればそれでいい

波にさらわれた手紙は
海に溶けて消えた
それでいい
届かない思いを綴っただけの
行き場のないものだから

夏にしか会えない人がいた
会うたびに変化していった

気さくな明るい雰囲気から
無口で表情がなくなっていた
心身や環境に異変があったのだろう
尋ねてみても無言の笑みを浮かべるだけ

いつしか夏すらも会えなくなった
人づてに聞いたが
職場が原因の心の病になったそうだ

あの変化はそれだったのか
今更気付いた

今は元気になったらしいが
心の病はあそこまで人を変えるのか
底知れぬ恐怖を覚えた

いつか元気な姿で8月、君に会いたい