「友情」
ある電気屋さんで「本日発売!!大人気アクションゲーム!」の文字が目に入った。
「仕事仲間は友達関係とかなれないよ」
ふとこの言葉を思い出した。
俺もあの仕事を始めるまではそう思っていた。
でも仕事始めるまでみんなで雑談、仕事が終わってもみんなでゲーム、業務連絡もゲーム内のチャットでしちゃう。
これは友達と言っていいんじゃないだろうか。
そんなことを考えているとブブッと携帯が震えたのを感じた。
「あのゲーム買いましたか!?僕買ったんで絶対買ってくださいね!」
「…ったく」
そう言って俺はレジへと向かった。
「花咲いて」
午前8時30分。今日は休日なので早起きをする必要はなかったのに、なんとなく目が覚めてしまった。
カーテンを開け日光を浴び、お湯を沸かし、ストレッチをする。
普段しないことをするってだけでとても気持ちがいいもんだ。
散歩でも行こうかしら。
普段の自分では絶対出てこないようなことを思いついた。
そういえば、撮りもしないくせにデザインに惹かれてカメラを買ったんだっけ。
そう思い出し、カメラを手に家を出た。
カメラを持っているといつもより周りの景色によく目がいく。
せっかく持ってきたんだから1枚くらいは撮らないとね。
白い一輪の小さな花を見つけ、パシャリと写真を撮った。
朝の何気ない思い出に…。
「今一番欲しいもの」
「今一番欲しいもの?」
フフッと笑った。
「もうすでに手に入れてるんだよな」
そう呟き
「君だよ」
と、鼻に指を近づけてみせた。
するとニャンと鳴いて目を細めた。
「私の名前」
私の名前は自己紹介をするといつも「かわいい名前だね」と褒めてくれる名前。
でも私は自分の名前がそんなに好きじゃない。
もちろん、変な名前だって言いたいわけじゃない。
私には似合ってない気がして褒められるたびにむず痒くなるのだ。
「視線の先には」
視線の先にはあいつがいる。
いつものあいつ。
今日もあいつを笑わせればいいんだ。