*仲間
仲間という言葉の定義ってなんだろう。友だちとは違うのか?
考えてみたら友だちは自分が一緒にいて気が休まる人のことを指してると思う。自分がこの人と一緒にいて楽しいと思えるのが友だち。
その一方で仲間は違う。いい意味で一緒にいる人もいるけど、仲間は悪い意味のほうに比重をおいている気がする。
例えるならば仲間意識という言葉からは良いイメージがない。変な仲間意識を持ち合って、お互いに腹の底を探り合って、足を引っ張りあっているだけだ。
仲間だと思っていても信用するなと誰かが言っていた。
その仲間が裏切ったり、攻撃してくる。あるいは仲間外を攻撃している。そんなものはいらない。
だから
仲間って言葉は好きじゃない。
*手を繋いで
あの日、あの時、暖かい温もりを感じた。
手を繋いでどこまでも行ける気がした。
握ろうとした手が遠ざかっては近づいて。自然に捕まえようと躍起になるのに、意気地なしで掴めないまま。
憎たらしく自分の手を見つめることしかできない。
砂浜を踏む音、波が寄せては返す音。それに混じって鼓動の音が大きく鳴る。
目の前を歩く君はそんなことはお構いなしにどんどん進んでいく。なぜか喪失感に駆られ足取りが重くなって歩みを止めた。
君は前を向いて未来へ駆け出している。その姿が眩しすぎて隣にいてもいいのかわからなくなる。どんよりとした気持ちとはいまのようなことをいうんだろうか。
置いていかないでほしい。手を伸ばしても届くことのない背中に手を伸ばす。どうせ届く筈がないのに。
暖かい。手のひらに感じた温もり。
どうしてだろうと温もりを辿ってみると包まれた手。
なんでだとか、どうしてだとか、そんな言葉ばかりが浮かぶ。
いつだって君は欲しいものをいとも簡単にくれて、これじゃあ悩んで塞ぎこんでた自分が馬鹿みたいじゃないか。
行こう!っと陽だまりのような笑顔を向けられたら、君がずっと離れずにそばにいてくれると勘違いしてしまう。
どうしてくれるんだ。期待ばかりさせて、泣きそうなくらい嬉しいだなんて。
君のせいだから。いまさら離したいとか言ったら許さないから。この手の温もりを教えたのは君なんだ。ちゃんと責任をとって手を繋いでて。
*ありがとう、ごめんね。
きっかけは本当に些細なことだったかもしれない。小さな歪みがゆっくり、ゆっくり、と大きくなって気づいた時には埋めることのできない溝になっていった。
もう戻れないんだと漠然と思ったときには、あなたの手を私が離した。優しいあなたはそれでも私の手を握り返そうとしてくれた。
ずっと伸ばしてくれる手に向かって首を振った。
最後くらい我儘をきいてほしいだなんてよく言えたと思う。
涙は流さない。あなたが好きだって言ってくれた笑顔で伝えよう。
ありがとう、ごめんね。
*部屋の片隅で
ただ何もせずに眺める天井の白
嫌なことを忘れてしまいたいなんて夢のような話
うつらうつらと無駄に睡魔と闘って、勝ったあかつきに空虚な時間を手に入れた
安らぎを求めて小さな箱を手に取って、ひとに対しての劣等感を抱いていく
また寝れない時間が続くんだと目を閉じた