12/29/2024, 1:59:00 PM
今、俺の目の前にはみかんが置いてある。
クリスマスが終わり家にツリーが消え、彩りを失ったところにぽつんと5つ置いてある。
みかんは、賭けである、形が大きくても酸っぱかったり、甘かったり、白い部分を取ってまでしても、肝心な味は1度噛むまで分からない。5つあるみかんを横並びにしてみようか、この中にいくつ甘いみかんがあるのか、分からない。思い切って真ん中のみかんを手に取り食べた。
みかんは、賭けである。「酸っぺぇ。」
大敗北だ。
11/25/2024, 9:33:50 PM
「卒業しても、また会おうな。」
彼の何気ない言葉で、私のそれまで暗かった顔は一気に光を取り戻した。まるで太陽に照らされたかのように。
「そういうとこ、ずるい」彼に聞かれないような小さな声でつぶやく。桜の花びらに祝福されながら、私は雲ひとつない太陽の下を歩く。
11/24/2024, 4:41:04 PM
「君はセーターよりもカーディガンが似合うのに。」
彼女の口癖だった。父親の仕事の都合で急遽転校が決まった年、君といた最後の年の雪が溶けてきた時期でも、相変わらず彼女は僕に言った。
そして僕は今、セーターを着てる。いつか彼女に会える日まで、あの口癖をもう一度聞くまで、僕はセーターを着る。