完璧な人生を歩みたい。
そう思いながら生きているのは間違いだろうか。
完璧とは言いながら、なにもそれは大金持ちになったり一生無くならない名誉を貰ったりする様な大きな話ではない。
ただ世間で言う想い人との結婚だとか、愛娘だとかそういう有り体の幸せをできるだけ多く集めたいだけだ。
自分の決めた人生設計を完璧にこなす事、それは私にとっての完璧な人生だ。
死に方すらも。
愛した人に囲まれて、自分の存在を惜しまれて。
そんな最後なら、自宅で賢くも自分の死を悟って逝けたら。
その人生最後の野望が完遂できて初めて完璧な人生となる。
私はまだ未完成だ。
貴方の香水の匂いが好きだと言ったのはほんの3年前の話。
流行に敏感な貴方がこの香水ばかりをつける様になったのもその頃だった。
貴方のつけていた品名が何かも知っている。でもただ貴方の匂いを探している。
私といる時は私のことだけを考えて欲しい、ただそれだけの話。
私と貴方の関係は辞書で引いたら出てくる言葉に当てはまりますか。
貴方には他に夢中なってる誰かがいる事は知っているし、もうそんな事はいいのです。
身体を預ける度に「好き」と言うのは何故。
誰かに向けているはずの言葉を私に重ねているのでしょう。
言葉じゃなくて、ただ貴方の愛が知りたいだけ。
彼は用事のある時しか連絡しないタイプだ。
そして業務連絡みたいな敬語の文章。
貴方との写真が映るトーク画面には、おおよそ恋人同士とは言えない様な文字列を浮かべている。
彼は私に用事のある事は絶対に事前に連絡をくれる。
誤解が生まれない様に、丁寧に私との関係を紡いでくれる。
誠実という言葉がよく似合う、真面目な人。
私の中の彼の印象で私と真反対だ。
そんな所が好きになったのかなとも思う。
あぁ、なんだか貴方に会いたくなってきた。
彼が帰ってきたら私が家にいて、貴方に抱きついたらなんていうだろう。
でも貴方が私の突然の行動を結構好いているのは知ってるよ。
「君はいつも予想外で楽しいね」って言うから。
鍵だけ閉めて、前に褒めてたプリンを買って貴方の家へ。
私は愛に囲まれ生きてきた。
友達に困った事もなかったし、恋人に裏切られた思い出もない。
家族仲も良好でいつも自分が愛されて育ってきた自覚はある。
ただ、自分が本当にそれで良いのかという問いは常に私の中にあった。
愛されている故の無頓着、無意識で他人の事を傷つてけている。
そんな感覚が私にはあった。
私は私の大切な人全てを甘い愛で満たしたい。けれどそれは私のエゴかもしれない。
私はただ、愛の雨に佇む。