進藤路夢

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9/1/2023, 7:57:55 PM

よぉ、長谷川どうしたの?

スマホ、調子悪かったから機種変。
へぇ、何がダメだったの?

LINEが開けない。
そっかぁ、LINE無いと今や何にも出来ないもんなぁ。

どれくらいダメだったの?
三日? あちゃー、大事な連絡とか来てんじゃないのか?

あ、でも週末挟んでの三日・・・
遊びの誘いとかあったかもよ。

ちょっと、見せて見せて。

いいよ? ありがとう。
ああ、起動に時間かかるもんなぁ。

しかし、あれだ。週末といやぁ、山岡が作ったグループLINEで結構みんな書いてたなぁ。

え? 知らない。
・・・
ああ、あれはまだ入ってないかぁ。
今度、招待しとくよ。

でも、ほらサトミが作ったグループLINEで来月皆でキャンプ行こうって・・・・

それも入ってないのかぁ。サトミから直接連絡あるかもだよ、うん。

ま、ほら開けてみ、三日もあれば沢山連絡来てるはずだからさ


・・・

・・・

・・・

よかったぁ。ミホコ? 女の子から連絡きてんじゃん。

え? 彼女? なんだ長谷川やるじゃん。


うん? 
さようなら


ああ、うん、連絡してみ、そしたら、うん大丈夫だと思うから。
うん、それじゃあ、俺いくよ。

なんかゴメン。


・・・・
・・・・

俺、アイツのLINE送ったことあったっけ?

あれ?

そもそも、アイツのLINE知ってたっけ?

・・・

・・・

8/31/2023, 8:34:10 PM

僕という字が不完全なのよ。
つくりが、『業』という字から一本足りなかったり、
美しいっていう字からいっても、一本足りないでしょ。

だから、元々『僕』は不完全なの。

不完全な僕

頭上を見上げる
とか
頭痛が痛い

と、同じなのよ。

完全な僕
はあんまり言わないでしょ。
完全は俺よね。


うん?

僕がカフェオレで
ラテが君
アイスミルクティーが彼で
モーニングセットは、無しで。

8/30/2023, 12:34:20 PM

「いいか、これがボスから言われたターゲットだ。ヤス、今回はお前がやれ」
「兄貴、ありがとうございます」
「今日の夜のパーティー、20時ちょうどに俺が電気を消す。暗闇の中でこいつをやれ」
「すいません、どうやってやるんすか?」
「この香水。これはターゲットが特注に使っているものと同じものだ。これに、特殊な液を入れておいた。そしてこのメガネだ。これをかければ、暗闇の中でも赤く光って見える。それを目印に任務を遂行しろ」
「心臓を一突き」
「バカっ!ヤス。いいか? 心臓なんて、肋骨があってそうそう突けやしない。それより、この香水だ、どこにつける?」
「どこっすか?」
「こうだよ、こうやって手首と首から耳裏だよ。ほら、どっちも太い血管が通ってるだろ? メガネかけて、赤く光ってるところそこを切り裂け」
「なーるほど、兄貴、香水つけるの上手いっすね」
「まぁな。結構、遊んでるから・・・んなこたーいいんだよ。いいか? しっかり切るんだぞ」
「はい」

*******************

「次のニュースです。今晩20時頃、都内のパーティー会場で殺人事件が起こりました。
殺されたのは、犯罪グループの兄貴分。殺したのは弟分だということです。グループ内での仲間割れが原因だとみて捜査を進めて下ります。
 また、弟分のほうは容疑を否認していて、『兄貴も香水つけていて、間違えた』とよくわからない供述をしているそうです。
 次のニュースです。レッサーパンダのあかちゃん・・・』

8/29/2023, 7:58:10 PM

俺のはじめての個展。

それはそれは、力が入った。
これまでの人生で最高の物を並べた。

新しくも書いた。
並べ方にもこだわった。

フライヤーも自分でデザインした。

キャッチコピーは
「言葉はいらない、ただ・・・」

これがいけなかった。

ただ

なのに

フライヤーには

タダ

と表記され、作品すべて無料だと勘違いされた。
俺は止めた。それでも、タダならとどんどん、運び出された。

作品は個展期間の半分で無くなり、
業界では
「タダという新たなスタイル」
という事で、俺は一躍時の人になった。

あれから10年。

また、沢山の作品をつくった。

次こそは、次こそは本当の、本来の評価を得たい。
そして、俺はこれで対価を得たいと思っている。

この10年で最高の物。
最新の作品を生み出し。

見せ方も10年前よりもブラッシュアップしていった。
フライヤーの最終チェックも怠らなかった。

コピーは
「言葉はいらない、ただし有料」
少し、ユーモアもいれたつもりだ。

なのに、

なのに、

個展期間、半分も過ぎたのに


どうして


誰も来ない?

残りの期間、タダにしよう。

8/29/2023, 4:19:08 AM

ガチャガチャ

君は突然、僕の部屋に来た。
合鍵は渡して合ったし、別に好きに使っていいよと言ってある。

でも、急に。

僕は、珍しく平日休みだったので、出迎えると。

「あ、いたの」
と、挙動不審な態度。
コーヒーを飲みながらでも、焦点は僕には合わない。

とはいえ、僕もやましい事が無いわけではないので、ドキドキなのだ。

余裕の態度をみせるべく、ベランダで一服する事を告げると、室内に痕跡が残って無いか反芻する。

多分、多分大丈夫だ。

一旦、落ち着いたので部屋に戻ると
「あ、まつげが・・・洗面所貸して」
と、彼女は部屋を出て行った。

僕はその間に部屋を見渡し、確認。
うん、大丈夫。

「よかった、あ、あと会社から電話だからゴメン行くね」
残りのコーヒーを一気飲みすると、彼女は出て行った。

ふーっ。
女の勘は鋭い。
俺が遊んでる時に不意にこういう事があるから恐ろしいんだ。

もう一度、タバコを吸おうとベランダに出る。
でも、

でも、あいつは何しに、家に来た?
本当に女の勘?

そういや、僕は出張で家を空けてる時があったな。

あいつ・・・

この家で・・・


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