〈8月15日〉
今日もお人形さんたちと一緒に絵本を読んだ。楽しかった!
〈8月16日〉
お庭でお人形さんと遊んでいたら、人間の子に声をかけられた。森の中で迷子になったから、偶然この家に入ってしまったんだって。名前をRくんと教えてくれた。人間とお話したのは初めてだったからとってもドキドキした!
〈9月6日〉
今日も遊びに来たRくんとお話した。Rくんは僕にはない綺麗な心を持ってて、笑顔がキラキラしてて可愛い。人形なんかとはまるで違うな。なんだか、いつもより一人の時が寂しく感じちゃう。明日も会えるといいな。
しばらくRと遊ぶ内容のページが続く
〈9月7日〉
今日は彼は来なかった。そんな日もあるよね。
〈9月16日〉
今日も来なかった。一人で何度も読み飽きた絵本を読んだが、つまらなかった。
ページが黒塗りされていて読めない
〈9月21日〉
つまり彼は人間だった。それだけ。
〈10月3日〉
僕の傍にいてくれるのは人形しかいないんだな。いや、違うか。人形には心なんてないもんね。一人ぼっちだ。
大量のページが破られたり黒塗りされたりしていて読めない。一部分だけ辛うじて読めた。「Rくんはこんな僕でも好いてくれるかな」ペンで黒く塗りつぶした。
〈1月16日〉
なにか勘違いしていたよう。今日もRくんが僕を起こしてくれた。今日もRくんが朝ご飯を作ってくれた。今日もRくんが僕と一緒に遊んでくれた。楽しかった
〈1月17日〉
クソクソクソまた失敗した、今度はたったの一日で。何度失敗すれば気が済むんだ。こんな嘘だらけのノート、新しいRくんには見せられない。新しいRって何だ?Rくんはいつでも彼一人だろ。僕はまた彼に会いたいだけなのに。なんで彼奴等は人形のくせして自我を持とうとするんだ。本当に気分が悪くなる。
そこでページを捲る手を止め、白いページを撫でた。小さな魔術師はペンを手に取り、今日の分の日記を綴った。
〈1月18日〉
日記を書くのはやめにする。久しぶりに見返したけど、ほとんど破られてて見れたものじゃない。少しだけもったいなく感じていたんだと思う。本物の彼との日々を綴った日記を捨てるのは。でも、Rくんにはまた会える。絶対に。