君が旅立つ日、運悪く事故渋滞に遭って、出発の時間に間に合わなかった
結局けんか別れした日が最後になってしまったね
謝りたかった
でも、気づいたときには連絡が取れなくなっていた
あれから月日は流れた
君は僕のことなんか忘れて新しい人生を歩んでいることだろう
でも僕は、まだ君を思い出にできない
君は繊細な花のような人
なんて言いたいところだけど、違うよね
たしかに花のように美しく儚げに見えるけれど、本当の君はとても強い
それに元気で明るくて、ちっとも気取らない
そこがよけいに素敵なんだ
だからみんな君のことが大好きで、僕は気が気じゃないんだよ
偶然は必然だとか言うけど
急用ができたって君に言われて、僕は疑いもしなかった
ガッカリしたけど、次に会える日を楽しみにして、一人で映画を見に行ったんだ
君はアクションものには興味がないってわかってるから、どっちみち一人で行くつもりだったんだよ
まさか映画館を出たところでバッタリ会うなんてね
君とあいつは手をつないでた
何も言えなくて、僕はあわててその場を立ち去ったっけ
君は言い訳さえしてくれなかったね
あれからもう一年たったんだね
あれ以来会ってないけど、君は今どうしてるの?
くやしいことに、僕は今も君を忘れられずにいるんだ
僕は夢見がちな子供じゃなかった
友達がプロ野球の選手になりたいとか、宇宙飛行士になりたいとか言ってるのを聞いて、心の中で「そんなのムリに決まってるじゃん」ってバカにしてた
かわいげのないガキだよね
だけど今は違う
本気で叶えたい夢があるんだ
笑わないで聞いてくれる?
僕は、君の心を手に入れたい
絶対に叶えてみせる、なんて言ったら引く?
君の顔を見ることも話すこともできない
だけど、朝のコーヒーを淹れるときもパソコンに向かっているときも、疲れた体で電車に揺られているときも、心の隅にいつも君がいる
そう、眠っているときだって、僕は君のことを考えている
それが僕の日常
いつか君と二人の日常、なんて夢のまた夢
一人ぼっちが日常