久しぶりのデートなのに今日は生憎の雨。
正直は雨は嫌いだ。だけど、2人で同じ傘の下を歩いているのがなんだか嬉しくて少しだけ雨も悪くないなと思えた。これも美しい雨の魔法かな、なんて。

この世界は、ずるい。
好きな人と結ばれることも許されない。
でも、この世界は綺麗だ。
貴方がこの世界で生きているから。
こんなにずるい世界なんていらない。
でも、こんなに綺麗な世界なら永遠に続いてほしい。
こんな私でもこの世界で生きている。

もうここにはいないはずのあなたの夢。

ごめんね、今も大好きなんだよ


あぁ、ずっとこの夢を見ていたい。

「振られちゃったわ、俺」
そう言うあなたをそっと抱き締める。
「じゃあ私にしちゃいなよ」
弱みに漬け込むなんて最低だけどそれでもあなたが好き。
あぁ、ずっとこのまま。ずっとこのままこの体温を感じていたい。

空にぽっかりと穴の空いたような三日月が浮かんでいる。
まるで、今の私の心を表しているようだ。

“ごめんね、まだ、だいすき。”

そう呟いた声は誰にも届かない。