嵐が来ようとも
全てを飲み干してやる
荒れ狂う雨と風と
それに伴う怯えと狂気と
全て飲み干して
全て…いや
ほんの少しくらいは
残してしまうかもしれないけど
ごめんね







「嵐が来ようとも」

友達に関する思い出なのか
友達が持っている思い出なのか
双眸から覗いたあの頃は
どんなふうに見えるのか
どんなふうに見えていたのか
右目と左目のような関係の私たちは







「友達の思い出」

ここではないどこか
ココデハナイドコカ
その言葉を目にするだけで
耳にするだけでいつも
激しい動悸と憧れと諦めと
それからあれやこれやが混ざり合い
大きな目眩に飲み込まれる不快感が
ぐるぐると私を酩酊させるんだ

もうすでにここは
ここではないどこかなのかもしれない
もうこのままぐるぐると沈んでいくのかもしれない


「ここではないどこか」

小さな音も大きな音も
かすかな光も眩しく匂い立つ
体を包み込むように触れる空気さえ
時には甘くとろけるような感触を与える
今よりもずっと狭い世界で生きていたはずなのに
今よりもずっと広い世界にいたようだ

私はもう子供ではないけれど
きっとまだ
まとわりつくような空気を感じられるはず
ぎゅっと包みこんで
私の両腕で包みこんで
子供の頃の思い出と一緒に

ふと気づけば
するすると消えている残りの私を
温かな幸せで包んでくれるだろう







「子供の頃は」

飛べ！






「あの頃の私へ」