12/2/2023, 2:14:10 PM
すがりつく手を押しのけて
通し続けたその自我はどうなりましたか
ああ
すがりつくほどに切羽詰まった
この悲しみに
気づこうともしなかったのか
光と闇の狭間で
揉まれることもなく
じわじわと窒息する
ただただ飲み込まれていく
「光と闇の狭間で」
11/30/2023, 2:58:06 AM
もわもわとした湯の鳥肌は
泡となりまとわりついて
やがて溶けていく
冬の始まり
「冬の始まり」
11/28/2023, 3:10:33 PM
「この句点を入れるとすべてが終わる」
彼は淡々とそう言った。
「君の物語はこれで終わるんだ」
朱で円を書いた。
「これは句点、そして、ご褒美のまる。お疲れ様」
仰向けになり、ただ天井の一点を見つめながら男は思った。
「終わらせないで…」
朱は男の体内からすべて抜けきった。
やがて体は固く干からびた。
ドライトマトをつまみながら俺は想像した。
「なんてこった。まったくレシピが浮かばない。
思いつくのはこんなつまらない話だけ。まったく才能がない」
そうしてひと口かじった。
ちょっぴり鉄の味がした。
「終わらせないで」
11/25/2023, 2:57:14 PM
最低限まで脱ぎ捨て捨て去って
これが私だ!
文句あるか!
太陽の下で
思うままに大笑いして
砂浜に倒れ込みたい
自由だ!
あるがままに
太陽の下で
自由に!
「太陽の下で」
11/24/2023, 12:15:12 PM
在りし日のセーターは
ひと筆書きのように燃えて消えた
羨ましく
羨ましく
「セーター」