「この句点を入れるとすべてが終わる」
彼は淡々とそう言った。
「君の物語はこれで終わるんだ」
朱で円を書いた。
「これは句点、そして、ご褒美のまる。お疲れ様」
仰向けになり、ただ天井の一点を見つめながら男は思った。
「終わらせないで…」
朱は男の体内からすべて抜けきった。
やがて体は固く干からびた。
ドライトマトをつまみながら俺は想像した。
「なんてこった。まったくレシピが浮かばない。
思いつくのはこんなつまらない話だけ。まったく才能がない」
そうしてひと口かじった。
ちょっぴり鉄の味がした。
「終わらせないで」
11/28/2023, 3:10:33 PM