「また、来年も来ていいかな」
紅葉が綺麗だから。
見て回れないほどに、
名所がたくさんあるから。
君が住んでいる街だから。
会いたいから。
理由ならいくらでも思いつくのに。
来年も、再来年も、その次も
同じ言葉を言いたかったのに。
声に出せないまま
終わってしまった。
「一年後」
明日世界が終わるなら
この身一つで
好きな人がいる町まで会いにいく。
迷いもなくそう考えた後、ふと思った。
バスは、電車は、飛行機は
動いているのかな。
電話は繋がるのかな。
蛇口から水は出るのかな。
街に明かりは灯るかな。
私はその時になって初めて
この世に与えられた
当たり前の多さを知るのだろう。
ああ神様は意地悪だな。
最後なんて教えてくれなければ、
いつも通りの一日だったのに。
そうか、これは最後の試練か。
私は何をするべきか?
「明日世界が終わるなら」
あの日見た景色
青い空
色づく木々
夕焼け
一緒に過ごした時間は
誰も知らない
2人だけの秘密。
あの日私が感じていたこと
時間を止めたい
今日が終わらないでほしい
本気でそう思ったこと
そんな、幸せでほんの少し寂しい
隠し通した思いは
私だけの秘密。
「2人だけの秘密」
私の人生は
たくさんの色で溢れている。
明るい気分は赤色
幸せな気持ちは橙色
楽しい出来事は黄色
やりきった開放感は緑色
悲しいことがあって青色
少し疲れた藍色
明るくなったり悲しくなったり
人を想う恋しさは紫色
ほら
空を見上げて。
私だけの虹だよ。
「カラフル」
風が運んできたのは
夏の始まりを告げる便りだった。
昔から好きになれないんだ。
キラキラしていて
色鮮やかで
眩しくて
私はあまりに不釣り合いだから。
人はきっと心弾むんだろう。
夏の始まりに
心が踊るんだろう。
少し憂鬱になる私は
私の居場所はあるのかな。
だから今年の夏は
夏の好きなところを
見つけてみようと思うの。
きっとまだ気づいていないだけで
どこかに隠れているんだよね。
探しに行くよ。
「風に乗って」