大足ゆま子

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12/8/2022, 4:10:26 AM




子供部屋の片隅で、
風船頭の怪物が 、
二歳の息子を貪っている。



#部屋の片隅で

12/7/2022, 1:01:11 AM



世界中、
どこもかしも大不況で、明日の朝のパン一枚も買えず
庭の泥を啜って腹を満たす人で溢れているのだから、
未だに高層マンションに住めるだけでも御の字だ。
昼夜問わず、窓越しにたくさんの逆さまの顔が通り過
ぎていくのを見ることくらい、なんてことない。


#逆さま

12/6/2022, 4:58:32 AM




こぶし大の石が延々とばら撒かれているような雨音
が、眠れないほどに酷かったので、
堪らず重い瞼を持ち上げたら、
天窓を一心不乱に叩くびしょ濡れの大女と目が合った。


#眠れないほど

11/20/2022, 1:35:55 AM


闇の上を歩いている。
踏みしめる地面は、柔らかく、骨ばっていて、何度も足をとられそうになる。
それでも私は、右手の蝋燭の火で足元を照らそうとは思わない。
自分が今、一体全体何の上を歩いているのか、知りたくないのだ。
ぼやけた灯りでひたすらに闇の先を照らす。
見上げてばかりで、だんだんと首が痛んできた。

左足が何か固いものを踏んだ。
私は飛び上がった。
よろけた足の裏から、短い悲鳴が聞こえてきたのだから。


#キャンドル

11/14/2022, 7:05:28 AM



思い返しただけで本当に腹が立ちますよ。

私の腕を振り払った柔らかい手、私の体を押さえつけた無数の小汚い手。

この五年間、脳裏を過ぎるたびに脳味噌が沸騰して、胃が胃液をぐるぐると掻き回して、私を長く苦しめてきました。

あなたのことも、ほんの一瞬だけ恨んだ日もあります。

何であの時、私のことを「あんたなんか知らない」と嘯いたのかと。

でも、今はもうそんなことどうだっていいんです。

この狭い部屋の中で、あなたの言葉の真意を毎日毎日考えましたが、そんなことしたって無駄だと気づいたんです。

全てはあなたに聞けば済む話なんですから。

川崎駅前病院、まだ通っているそうですね。

私が刺した背中の傷が、未だにあなたを苦しめているということなのでしょうか。

そのことについてはあまり深く思い詰める必要はありません。

あなたの彼氏として、一生をかけても償う所存ですから。



あと三日で、ここを出られるそうですよ。

またお会い出来る日が、今から待ちきれません。





#また会いましょう

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