大足ゆま子

Open App


闇の上を歩いている。
踏みしめる地面は、柔らかく、骨ばっていて、何度も足をとられそうになる。
それでも私は、右手の蝋燭の火で足元を照らそうとは思わない。
自分が今、一体全体何の上を歩いているのか、知りたくないのだ。
ぼやけた灯りでひたすらに闇の先を照らす。
見上げてばかりで、だんだんと首が痛んできた。

左足が何か固いものを踏んだ。
私は飛び上がった。
よろけた足の裏から、短い悲鳴が聞こえてきたのだから。


#キャンドル

11/20/2022, 1:35:55 AM