〖信号〗
車高短で少しうるさくしたレガシィに乗る5個上の彼。
気ぃ使いで、感情の起伏はあまりない。
牡羊座で寝起きが悪く八つ当たりの激しい私にも
嫌味をあまり言わない優しい人。
彼の愛車に乗って出かける時、
信号に引っかかると、私の手を軽く掴み、
ん。って自分の手のひらを広げる。手を繋ぎたいという合図。
指を絡めると、軽く微笑み満足気な表情を浮かべる。
『夜ご飯何食べいく?』
「んー、ご飯食べたい!白ご飯!」
『メインは?』
「白ご飯食べれたらなんでも良き!」
『むずっ!笑』
こんな無茶ぶりにも対応してくれる人。笑
〖新しい地図〗
私の手には真っ白な地図。
これから新しく広がっていく世界のはずだが、なんだか見た事があるような気がする。
持っているのは、真っ白な地図だけ。
周りには青い空、白い雲、たくさんの木。
羊や牛もいる。
私が歩けば、真っ白だった地図に色が浮き出てくる。
ここから始まる私の物語。
どんな人生になるんだろう。
いつの間にか夜になって、向こうから人が歩いてくる。
なんだか具合が悪そう。
あの人にこの世界のことを聞いてみよ、、う、
ん?、ゾンビ、?
やばい、逃げなきゃ、
どこからか矢も飛んでくる、。
いたい、、でも逃げなきゃ、止まったら終わる。
始まったばっかりなのに、
いたいよぉ、もう、限界だっ、
私の手には、何もない。
なんだか見た事のある景色だなー。
私の物語はこれから始まるみたいだ。
〖みかん〗
「見て!今日もみかんゲット!」
みかんの入った袋を掲げて、親友はニカッと笑った。
うちの学校は、昼休みになると事務室で、野菜やら果物やら花苗やら学校で育てているものを販売している。
販売物によっては、行列ができるほど人気がある。
仲のいい先生より早く並んだとか何とか言いながら、一緒に教室に帰る。
「今日そっちの席でいいー?」
いーよー、と返事をし、机の上を片付ける。
「席借りるねーっ」
と前の席を確保した親友はみかんの袋を持ったまま。
それ今日こそ全部持って帰るんじゃないの?、と聞くと
「もちろんっ?毎回そのつもりなんやけどなー笑」
そういう親友は今日もきっと、お弁当の後にみかんを2つ食べるんだろーな。笑
〖冬休み〗
嬉しいようで少し寂しい冬休み。
学校がないから、彼と会う回数が減る。
クリスマスにデートをしたけれど、それ以降年内に会う予定がないことに気がついてショックを受けた。
「年明けるまで、会う予定無いとかむり、しんどい。」
こうメッセージを送ると、
「そーだねー?笑 いつ会おっか?」
と返事をくれて、予定を作ってくれた。
なんの予定もなく、家でごろごろしていた今日、彼から不意に、今から彼氏ーイーツしていい?と連絡が来た。
何を届けてくれるのかを聞くと彼は、野菜と答えた。
ふざけているように見えるけれど、彼はきっと真面目に答えているに違いない。
待ってるねありがとう笑、と連絡を返し、彼が来るのを待った。
結局、本当に野菜を届けてくれた。笑
面白く優しい彼のおかげで、嬉しいようで少し寂しい、だけど幸せな冬休みを過ごしている。
〖距離〗
「俺はそんなんじゃ離れんよ」
私がマイナスな感情になって、つい私なんかと居たって。とか、私じゃない人の方が幸せになれるよ。とか言うと、彼は絶対に怒ってそう言ってくれる。
「どんなに傷つけられても、突き放されても、離れたいって言われても、俺のこと好きなら離さんよ絶対。」
彼の言葉に何度救われて、何度泣いただろうか。
自分がめんどくさい女だということは十分わかっている。たくさん困らせて迷惑をかけていることも。
だけど、それすらも愛してくれる。
「俺は、めんどくさいとか迷惑とか思ったことない。ただ自己肯定感は低すぎかもなー?笑。十分可愛いんだから、ちょっとは自信持とうよ。ね?」
まあ俺以外にこの可愛さ知られちゃうのは困るな、と真面目な顔して言うから、やっぱりこの人の隣にいたい。