〖みかん〗
「見て!今日もみかんゲット!」
みかんの入った袋を掲げて、親友はニカッと笑った。
うちの学校は、昼休みになると事務室で、野菜やら果物やら花苗やら学校で育てているものを販売している。
販売物によっては、行列ができるほど人気がある。
仲のいい先生より早く並んだとか何とか言いながら、一緒に教室に帰る。
「今日そっちの席でいいー?」
いーよー、と返事をし、机の上を片付ける。
「席借りるねーっ」
と前の席を確保した親友はみかんの袋を持ったまま。
それ今日こそ全部持って帰るんじゃないの?、と聞くと
「もちろんっ?毎回そのつもりなんやけどなー笑」
そういう親友は今日もきっと、お弁当の後にみかんを2つ食べるんだろーな。笑
〖冬休み〗
嬉しいようで少し寂しい冬休み。
学校がないから、彼と会う回数が減る。
クリスマスにデートをしたけれど、それ以降年内に会う予定がないことに気がついてショックを受けた。
「年明けるまで、会う予定無いとかむり、しんどい。」
こうメッセージを送ると、
「そーだねー?笑 いつ会おっか?」
と返事をくれて、予定を作ってくれた。
なんの予定もなく、家でごろごろしていた今日、彼から不意に、今から彼氏ーイーツしていい?と連絡が来た。
何を届けてくれるのかを聞くと彼は、野菜と答えた。
ふざけているように見えるけれど、彼はきっと真面目に答えているに違いない。
待ってるねありがとう笑、と連絡を返し、彼が来るのを待った。
結局、本当に野菜を届けてくれた。笑
面白く優しい彼のおかげで、嬉しいようで少し寂しい、だけど幸せな冬休みを過ごしている。
〖距離〗
「俺はそんなんじゃ離れんよ」
私がマイナスな感情になって、つい私なんかと居たって。とか、私じゃない人の方が幸せになれるよ。とか言うと、彼は絶対に怒ってそう言ってくれる。
「どんなに傷つけられても、突き放されても、離れたいって言われても、俺のこと好きなら離さんよ絶対。」
彼の言葉に何度救われて、何度泣いただろうか。
自分がめんどくさい女だということは十分わかっている。たくさん困らせて迷惑をかけていることも。
だけど、それすらも愛してくれる。
「俺は、めんどくさいとか迷惑とか思ったことない。ただ自己肯定感は低すぎかもなー?笑。十分可愛いんだから、ちょっとは自信持とうよ。ね?」
まあ俺以外にこの可愛さ知られちゃうのは困るな、と真面目な顔して言うから、やっぱりこの人の隣にいたい。
〖太陽の下で〗
いーな。
あの子みたいに、たくさんの太陽を浴びて、走れたらな。
芝生の上に寝転んで、太陽の光をたくさん浴びたい。
機械に囲まれたこんな場所じゃなくて、外に出たい。
かくれんぼ楽しいんだろーな。鬼ごっこもしてみたい。
あれはなんていう遊びなんだろう。僕も混ざりたいな。
お薬の時間だ。僕、ほんとに治るのかな。
ここから出られるのいつなんだろう。
おかあさんとおとうさんに聞いても、せんせいに聞いても教えてくれない。
太陽の下で遊べる日、来るのかな、。