★胸が高鳴る★
わかっているの
きっと、抱いちゃいけない気持ちだって
だけど、もう引き返せない
顔、目、声、笑顔、手
黒い髪、背の高さ、真っ白な白衣、そのひたむきさ、その気高さ、その眩しさーーー
あなたの全てに
あなたという存在に
私の胸は壊れそうなくらい、強く激しく高鳴ってしまう
自分じゃどうにもならないの
どうしていいかわからないの
ドアが開いて
あなたの姿が見えた瞬間
小さな診察室(へや)の中
あなたの、温かで力強い手が優しく触れてくれる瞬間
あの場で
あなた自身と私の耳にだけ届く、静かで規則正しい、あなたの呼吸音(いのちのリズム)を感じる瞬間
小さな空間いっぱいに溢れる
あなたのまとう和らかな気配に、心ごと包まれる瞬間
高鳴る鼓動が、まるで身体中で小さな花火が弾けるみたいに鳴り響く
★太陽のような★
優しくて
温かくて
とても大きくて
目がくらむほど眩しくて
手を伸ばせば届きそうなほど近くて
だけど決して触れられない
あなたは、まるで太陽みたい
私はずっと、そんな太陽に惹かれ続けてる
狂おしいほど焦がれ続けてる
やがて、あのイカロスの翼のように溶けて消えてしまったとしても
私は太陽(あなた)に恋をし続ける
★お気に入り★
お気に入りのブランドの香水がある。強い香りが苦手な自分でも使える、優しい香りがコンセプトのブランド。
その中のひとつ、特に大好きな香りは、通院の時……決まった曜日に、いつも少しだけまとっていく。
木曜日ーーー
気付けばいつの間にか、通院のない時でも毎週必ずまとう香りになった。
あなたに会える時の、大好きで大切な……何だかお守りみたいな特別な香りになった。
大好きな先生(ひと)が、すぐ側にいてくれるみたいで、守ってくれてるみたいで、すごく安心するんだ。
ただの勝手な妄想だけど、そう思うだけで不思議と頑張れる気がするの。
★1000年先も★
この生がやがて終わりを迎えて、そして生まれ変わってもーーー
私はきっと
またあなたを好きになる
またあなたに恋をする
まったく別の人生になるだろう
いいえ……人ではないかも知れない
それでもいい
私が花であったなら、あなたを癒せるよう、命の限り咲き誇りたい
私が風であったなら、あなたを優しく包みたい
私が空であったなら、あなたがいつも笑顔でいられるよう、穏やかな青でいたい
雨の一雫であったなら、あなたが流した涙と一緒に頬を伝おう
木漏れ日の光のひとかけらであったなら、眠るあなたのまつげにそっと降り立ち、温かな夢を見せよう
ひとひらの雪ならば、あなたの手の中で解けて消えてしまう運命でもいい
10年…100年……1000年ーーー
どれだけ時が経ったとしても
たとえ記憶がなくなっても
あなたへの想いだけは忘れない
★あなたに届けたい★
ねぇ、先生。
私の中には、先生に…先生だけに届けたい気持ちがたくさんあるよ。
ありがとう
大好き
ごめんなさい
ずっと側にいたい
その声をずっと聞いてたい
その笑顔をずっと見てたい
ずっと側にいて
その腕でギュッてして
その温かな手でもっと触れて
先生と出会えて幸せ
私、もう他の誰かを好きにはなれない
先生だけだよ
たくさんたくさん伝えたい。
でも、伝えることは……できない。
ほんの数センチ先の先生の瞳は、私の心臓を射抜くように真っ直ぐで、鏡のように私を映してくれているのに、届けたい気持ちはその瞳も、心もすり抜けていく。
届かないなら、伝えられないなら、想いにカギをかけてしまえばいいのに。
だけど先生……それは無理みたい。
だってどんなに頑丈にカギをかけても、何度カギを変えても、先生を前にすると想いのドアは簡単に開いてしまうから。
いつか……いつか……この想いを先生に届けられる時は来るのかなーーー