★子猫★
ねぇ
私がもし、あなたの元で暮らす子猫だったなら……。
あなたの温かな腕に抱かれて
あなたの優しい声に名前を呼ばれて
あなたの、私だけか知る穏やかな表情(かお)を独り占めして
あなたがくれる愛をたくさん感じて
私はあなたの側で、たた静かに悩みや弱音を聞いたり、心を癒したりして
あなたが素(あなた)でいられる場所で
あなたと共に生きて
幸せを与え合える
そんな存在だったのかな。
ねぇ
私がもし、子猫だったなら……。
こんなに苦しい思い、しなくてすんだのかな。
だってどんなに願っても
あなたと同じ時は過ごせない。
あなたの温かな腕に抱かれることもない。
あなたのホッとできる場所にはなれない。
あなたに幸せを与えることもできない。
子猫のように
あなたが大好きと素直に伝えられたなら
あなたは
なんて答えてくれるのかな。
★脳裏★
嬉しかったこと
辛かったこと
幸せな瞬間
感情が弾けた瞬間ーーー
心がほどけるような温かな記憶も、凍えるような冷たい記憶も、脳裏に浮かぶ沢山の記憶は、私が生きてきた証。
だけどどんなに抗っても
どんなに願っても
記憶は薄れ、やがて忘れていく……
私はそれか怖い。
大切な気持ちに
大切な想いに
大切な記憶に
カギをかけてしまっておけたなら
ずっとずっと忘れないのに。
★意味がないこと★
意味がないことなんてひとつもない。
よく聞く言葉。
それって本当なのかな
もしも本当なのなら
毎日が幸せでありますように…と
毎日が満たされたものでありますように…と
元気でいてくれますように…と
穏やかな日々でありますように…と
あなたのことを願う私の気持ちも
意味がないものじゃないのかな。
例え、あなたへの想いが叶うことのないものだったとしても
あなたのことを願うこの気持ちが
風に乗って
陽光に乗って
雲に乗って
星に乗って
そっとあなたに届くなら
私は祈るよ
何度だって、いつだってーーー
★眠りにつく前に★
明かりを消した部屋の中、布団に入りそっと目を閉じる。
お風呂で温まった身体が、布団の中を心地よく暖める。
眠りに誘われるまで……
頭の中も心の中もあなたでいっぱいに
なる。
低く穏やかな声が紡いでくれた沢山の言葉が。
私を真っ直ぐ見てくれる優しい目が。
大きくて温かな手が。
初めて出会ってから今までのこと、何もかも全部が。
貴方の存在がーーー
溢れそうなほど沢山のあなたとの記憶は、フワフワの毛布みたいに私をそっと包んでくれる。
そして私は願う。
今日1日も、新しい明日も、あなたが幸せでありますようにと……。
★どこまでも続く青い空★
昔から空を眺めるのが好きだった。
季節によって、天気によって、色んな姿を見せてくれる空は、見ていて飽きない。
特に好きなのは青空。
透き通る青い海をフワフワ自由に泳ぐ雲や、モコモコの羊たちの群れ、いっそう眩しく照らす太陽。
そう、大好きな青空。
でも
ねぇ、先生……先生に出会ってから、青空は『大好き』なだけじゃなくなった。
ずっとずっと続く青い空。この空の向こうにはあなたがいる。遠く離れてても、この青空はきっと同じで。
同じ空で繋がってる。
そう思うと幸せでーー
そう思うから寂しくてーーー
この青い青い空を、風みたいに一瞬で飛び越えて会いに行けたなら。
今日も私は想う。
大好きな青空を見上げながら
大好きな人のことをーーー