目が覚めると
目が覚めると知らない場所にいた。
周囲を見る。おそらく病室だ。
ナースコールを押すが反応がない。
改めて周囲を見る。日中だが物音がしない。
病院内を探すも誰もおらず、大声で人を呼んでも反応がない。
外に出るが状況は変わらない。
しばらくして動物もいない事に気がつく。
樹木や花壇を見るが、虫も見つからない。
花壇の花が咲いているということは、人がいなくなって間もないのだろうか。
意識のない間に何があったのだろう。
私の当たり前
私は君が心配なんだ。
いつも何かに怯えているから。
君をずっと見守って、何かあれば助けてあげる。
君は遠慮や気遣いをしすぎてしまう人だから、私に助けてと言えないんだよね。
だから君に要らぬ気遣いをさせないように、影からそっと見守るね。
君といつも一緒に帰っている人にやめて欲しいと言えないんだね。
私が代わりに言ってあげたよ。
なんだか凄く怒っていたけど、迷惑をかけている自覚がないんだろうね。
そんな人は社会の迷惑だから、いなくなってもらったよ。
君が知ったら自分を責めてしまうから、誰にも気づかれないようにしたからね。
君の為なら、このくらい当たり前だよ。
街の明かり
都会は夜でも暗くならない。
街の各所に明かりがあるからだ。
全ての明かりの元に人がいる。
それでも昼よりずっと少ない。
そしてそのほとんどは見ず知らずの他人だ。
国や世界の広さを考えれば決して広くはないこの土地に、いったいどれほどの人が集まっているのだろう。
それほど人が密集している都会に大きな災害が訪れれば、人が少ない土地よりもずっと多くの悲鳴で溢れ、死体の山となるだろう。
その光景を見る事ができるだろうか。
そんな密かな楽しみを悟られぬよう、私は今日も変わり映えのない都会の日常を生きる。
七夕
7月7日、七夕
年に一度だけ、彦星と織姫が会える日
きちんと働いていれば、毎日会えたのに
友だちの思い出
私には友達などいなかった。
思い出などない。
奴らは友達などではない。
私の人生を歪めた奴ら。
どういうつもりであんな事をしたのだろう。
友達面をされると腹が立つ。
それでも奴らとの思い出を語れというのなら、奴らが私に行った悪行の数々を話そう。