オシャレとは無縁の原色のおもちゃ。
なんだかちぐはぐな組み合わせのTシャツとスカート。
冷蔵庫に絶やさない牛乳。
カバンから出てくるシール。
久しぶりに得た一人時間につい買ってしまういつものお菓子。
小さな愛が集まって大きな愛になる。それは親という生き物。
空はこんなにも青く美しいのに世界のどこかで飛び交う爆弾
子供の頃の夢を今でも覚えている。
朝起きていつものリビングに行くと、トランプのキングのような見た目の王様が、我が家のコタツの父の席に鎮座ましましていた。
──お父さんが王様になっちゃった!その異様な光景に怯えて後ずさる私はまだ4歳くらいだったはずだ。
部屋数もない団地の狭い間取りは幼い私にとっては大きく広く、寝室に逃げようにもそこは遥か遠くに思われた。
怖いのをぎゅっと我慢して廊下に出て、ようやく寝室の前にたどりつけば、そこには白いオバケが待ち構えていた。
オバケ、それはまさにオバケとしか言いようのないオバケだった。子供がシーツをかぶってオバケごっこをする時そのまんまの見た目のオバケが、寝室の扉の前でゆらゆらと揺れている。
寝室の扉は開いている。あそこまでいけばお母さんがいる。お母さん、お父さんが王様になっちゃったよ。そう伝えたいのに、オバケが怖くて近づけない。そうしている間に朝の光が窓から差し込んで、部屋が奇妙に白く浮かび上がって──私は目覚めた。
子供ならではの、なんてことないようでいてシュールで不可思議なあの夢は、もう随分と遠くなったにも関わらず、ありありと思い出せる記憶の引き出しの一等地に居座っている。
恋人をドラマチックき引き止める人「どこにも行かないで」
イカが見当たらない関西の人
「どこにもイカないで?」
井出さんをすべての場所に派遣したい関西の人
「どこにもいかな!井出!」
君の背中を追って走ったら
夏にたどり着いた
君の声がして振り向いたら
秋の香りがした
君のにおいの残る場所には
冬の景色だった
君の思い出を探して見つけた先は
春が広がっていた