黄色い帽子かぶって
ランドセル背負った
花びらが東風に舞い
目の前で春を告げた
麦わら帽子かぶって
自転車を漕ぎ出した
西日に耳を傾ければ
飛ぶ鳥が夏を呼んだ
団栗が帽子かぶって
足元へひとつ落ちた
鼻先に揺れる南天は
風の噂で秋を知った
毛糸の帽子かぶって
口から白い息吐いた
北極星を道標にして
月が冬の道照らした
東西南北
花鳥風月
目耳鼻口
春夏秋冬
電話をかけている人が、発信ボタンを押すその時に。
ティッシュを配る人が、通行人にティッシュを差し出すその時に。
カフェの店員さんが、注文を取りに行くその時に。
買い物をする人が、初めてのお店に入るその時に。
大きな通りを走る車の運転手が、右折をしようとするその時に。
ひとつひとつに必要だった小さな勇気。
当たり前の日常風景にうつるすべての人は、勇者なのかもしれない。
「わぁ!パパママ見て、サンタさん今年も来てくれたよ!」
実はね、三日前にパパの車のトランクにプレゼントが入ってるのを見つけたんだ。
でも嬉しいのは本当だから。驚いたフリ、上手くできたかな?
「わぁ!ママのために用意してくれたの?びっくりしたよ。ありがとう!」
聞こえるヒソヒソ話、机の上に置きっぱなしだった『誕生日おめでとう』の手紙。
バレバレのサプライズ計画が愛おしくて。驚いたフリ、上手くできたかな?
「わぁ!なーんだ、思ってたより全然元気そうじゃん、お父さん!」
この前会った時よりも随分と痩せて老けた父へ、心配な顔を見せるのはまだ早いから。いつも通りの呑気な娘のフリ、上手くできたかな?
追伸
「わぁ!また投稿にハートが付いてる!嬉しいなあ!」
『もっと読みたい』のハートをくれる方、ありがとう。毎日とてもとても嬉しいです。
夢中で読んできた物語のシリーズ最終巻。
手に持つ本の、左手側が薄くなってゆく。残りのページは僅かだ。
もう何年越しだろう。本の中の登場人物たちと沢山の場所へ行った。多くの出会いと冒険に胸をときめかせ、一緒に笑い、驚き、怒り、泣いた。
その壮大な旅もあと少しで終わってしまう。ページをめくる手が鈍る。
ああ、この本がいつまでも終わらない物語なら良いのに、と切実に願う。
それでも読まない選択肢はないのだ。
彼らの行く末を見届けるために。
最後のページをめくり、本を閉じる。
終わらないでほしかった物語が、今終わった。
しばし呆けたように余韻にひたる。
この満足感と名残惜しさを求めて、私達は今日もまた本の海へと潜ってゆく。
やさしい嘘をつこう
いつか戦争はなくなり
すべての子どもは貧しさや飢えに苦しむことなく
美味しいご飯を食べれるようになる
男女で争うこともなく
人種で差別することもされることもなく
尊重された個々が自由に羽ばたける
多様な文化が発展し
それぞれを敬い鼓舞し合う
山は碧く木々がざわめき
海は青くゴミが浮かぶことはない
空は蒼くどこまでも澄んだ空気が広がってゆく
そんな世界がきっと来る
そんな世界が絶対に来る
やさしい嘘をつこう