逃れられない
「なんで…また…」
「神様…どうか…どうか彼を…」
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私の名前はりんか。
私の人生は“2週目”だ。
信じられない人もいると思う。
けど本当の事。
今私が生きているのは彼のため。
私の人生1周目では彼は一度亡くなっている。
交通事故だ。ボール遊びをしていた子供たちが
道路にボールを転がしてしまって飛び出ていったのを
助けたのが彼だ。
でももう安心2週目の私は起こることを知っていたから
事前に止めることができた。
今はすごく笑顔で楽しそうな彼が横にいる。幸せだ。
明日は久しぶりのデート。楽しみだな。
アラームがなった。起きなきゃ。
私はベッドから起き上がり、彼を起こしに行く。
彼の部屋のドアを開けた。
彼がいない………。
「どうして…?なんでいないの…?」
私は焦った。
彼に何かあったのではないか
誘拐されたのではないか
それとも………。
私は必死に彼を探した。
「え……?」
私の目の先には彼がいた。死体の姿で。
言葉が出なかった。
私の涙と彼の血が道路に流れていくばかり。
「なんでよ…。今日、デートの日だよ?
寝てなんかいないで早く起きてよっ……」
「いつも通りの笑顔で笑ってよっ……」
「…っ……」
しばらくしてから救急車が来た。
誰かが読んでくれたのだろうか。
私は泣き疲れてしまったのか、いつの間にか……
──────「──か!」「──んか!」「りんか!」
「……っは!」
目を覚ますとどこか見覚えのある部屋にいた。
りんか「私…何してた?」
友達 「ずっと寝てたよ笑
なんかうなされてるみたいだったけど大丈夫?」
りんか「あ、うん…。大丈夫。」
私、寝てたんだ。
???
待って、この部屋は2週目の私が来ることはないはずなのにどうしてここにいるの?
もしかして、、、
─────私は彼を助けるという夢を見ていたようだ。
1周目でも2週目のでも彼の運命は変わらなかった。
結局、運命からは逃げられないんだ。────────
【一年後】
「またね。」これが彼と交わした最後の言葉─────