- 木枯らし -
よーいどん誰にも追いつけやしない孤独な君は木枯らし1号
- 美しい -
カーテンに映りし十字架背負う君あなたの罪を僕にください
- この世界は -
───人間は好きじゃない
そう言ってパソコンに向かうあなたは世間話をするように、何気なくさらりと、言い退けた。ぱちぱち、と彼女の言葉に追随するように、キーボードの音が響く。
4限は比較的ゆるくてフリーダムな時間だった。優しい顔で穏やかに喋る先生から簡単な課題を毎回出されて、友達とぺちゃくちゃ喋りながら終わらせる。終わらせた後もひたすらぺちゃくちゃ喋りながら自分の好きなこと、やらなきゃいけないこと、をやる………………といった具合で。だからこの教室はいつも和気あいあいとしている。そんな中、隣に座っていた彼女のその声はよく響いた。私の心の中に。
───分かるよ
そう同意したくなった口を慌てて押さえた。分かるよ。人間はどうしようもなく不完全だから。取り返しがつかないほどに…………
でも堂々とそんなこと、口に出して言えないのが私だった。
彼女は普段から落ち着いていて、しっかりと自我を持っている人だった。私とは正反対な、そんな人。でも私がパソコンをうまく使えなくてあたふたしている時はさりげなく手伝ってくれる。そういう人だった。
「それって」
私と話したりするのも嫌ってことかな。また口をつぐんだ。もっと気まずくなる返答をするところだった。危ない。でも私は人間だし………ということは、それって、それって……と勝手に悶々と考える。
ぱちん、とエンターキーが鳴った。隣の彼女と目が合う。慌てて私は目線を外した。きっと物を乞う子供のような、そんなみっともない顔をしていたに違いない。
一瞬の間があって、
ふふ、という空気の音がして、またぱちぱちとキーボードの音が続く。恐る恐る横目で彼女を見やった。
相変わらず彼女は自分の作業に集中していた。少し、微笑みながら。
一瞬だけこの世界が華やいだ。
本当に単純で底の浅い人間だった。私は。だから私も人間が嫌い………
私の薄っぺらさが、どうか彼女には一生知られることがありませんように。
- どうして -
気づいたらもう遅かった
だったら気づかなくていいよ
天の川で目隠しさせて
超新星は目に毒なんです
星のとげの痛みが心地いいんです
すべてブラックホールに捨てました
このまま授業を受けてもいいですか
いいですよ
新しく来た担任は笑ってそう答えた きっと
- 夢を見てたい -
あの星を抱きしめて ずっと夢を見ていたい
ろうそくのひかり ビーズのつやつや はじけるシナプス
ずっと輪郭を失っていたいの
ずっと ずっと まどろんで…
いつかは夢の中で暮らせますように
いつかは現実に希望が持てますように