青く、透き通る風
もっと傲慢でいいのかもしれない。
カーテンを締め、1人。
呟く。
もう会えない貴方に。
求めすぎるのは、ダメだと。
本能で分かったし。
そうだと教えられてきた。
だけれど、
逢いたいと思うのは。
普通なのではないか?
カーテンは少し空いてて、
隙間風から、貴方の香りがした。
願うだけじゃなくて。
叶えて欲しいと思うのは、
傲慢だと言わないのであれば。
僕は、いつだって願う。
貴方に逢いたいから。
貴方に、好きだと伝えたいから。
ひらひら揺れるカーテンは、
こんな僕を無視して、楽しそうで。
貴方を思い出した。
天国では、"笑顔でいてね"
なんて。
押しつけなんてしてみたり。
そして、ふと。
気づいた。貴方も傲慢だったと。
勝手に居なくなったのだから。
お互い様。
なら、いいよね。
だって、いいんだもん。
閉ざされた外と、中の空間。
誰も見えない、カーテンの中。
ただ、ひとつ。
ガタッ
という音だけがした。
傲慢で、浅はかな僕は。
最後まで、傲慢だった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
一応説明とか何とか...。
昔のにも貼ってこようかな。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
貴方は、亡くなってる。
言わずもがなだけれど。
主人公の「僕」は、優しかった。
人より、何倍も。
それゆえ、自分を抑制。
そして、都合が良すぎる子だから、
相手からも抑制されていた。
そんな時、出会ったのが貴方。
「もっと意志を持っていい」と。
外の世界へ、引っ張り出してくれた。
そんな貴方は、「僕」に何も言わずに。
自殺した。
それを、「僕」は、傲慢と呼んだ。
傲慢とは、「自己中心的で、尊大な態度」
のこと。
だけれど、理由を知れば、
貴方にそんなことを、
言ってしまったことを後悔する。
絶望まみれた1人の部屋で。
初めての感情に触れる。
「貴方に逢いたい」
「貴方が好きだった」
「話したい、行かないで」
と。
優しい「僕」からしたら、
こんなことを望むことは罰当たりで。
でも、これは、
普通のことだと、気づいてから。
あることに気づいてしまった。
貴方に、"逢いに行けばいいと"
気づけば、腕と足は動いてて。
首をつけて、
ガタッと、足場をければ。
「僕」は、傲慢のまま、終わってしまう。
当然、【カーテン】は、閉まっており。
誰も気づかない。
例え、貴方でも。
隙間風からした匂いは、
貴方が連れ出してくれた外の世界で。
懐かしむ間もなく。
ただ、終わってしまった。
それだけのお話。
青く、深く。
手を伸ばす空は。
潜り込む海は。
美しく、どれほど綺麗なのだろうか。
知ろうとして、した行動なのに。
知ることは出来なくて、終わる。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
青く、美しい海は。
青く、切ない空は。
青く、澄み渡った心は。
深くを覗いても。
見えないこともある。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
思いつくものは。
願うものは。
空と海と、心だけ。
それ以上でもそれ以下でもない。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
近づいてくる。
夏の気配に、思い出すのは。
1つだけ。
あの日、あの時。
君にもらった、ひまわりの種のこと。
ちゃんと、育てたよ。
今でも、僕の庭で咲いてる。
この季節になると、
必ず。くれたよね。
「お守り」
なんて言って。
何を守っているのか、
何を思っていたのか。
聞きそびれちゃったから。
...。
近づく夏の気配と共に。
逢いに来てくれたら、
答え合わせができるのに。
隣にいるのに、いなくて。
なんだか寂しいよ。
ねぇ。
なつ。
このひまわりが枯れる時までに。
帰ってきてよ。
去年のだから、すぐ枯れちゃうよ。
それとも、
もう
...。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
ひまわりの漢字は向日葵って書くんだよ。
これは、
日を向く葵科の花だからなんだって。
葵科の種類の花には、
太陽の方を向く習性もあるみたい。
なつなら、知ってたかな。
ひまわり...
いや、花。
好きだったしね。
それならさ。
これは、
「前を向いて」
ってメッセージなの?
それとも、
「そばにいたい」
っていう気持ちなの?
それとも。
何も、何も思ってないの。かな?
どれかが言いたいのか、
なつのことだから...
どれかじゃないかもしれないけれど。
もし、
それを言うならさ。
僕に。
言葉で。
逢って。
直接。
話してほしかった、な。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
...。
ねぇ、なつ。
夏の気配が近づくと。
毎年、思い出してしまうんだ。
別れたいのに。
別れられない。
だから望むよ。
もしも、
もしもこれを聞いているならさ。
悲しいけれど。
逢いには来なくていいから。
ただ、上を向いて。
太陽を向いて。
前向きに進んでいくから。
未練ないように。
答え合わせ、
したいから。
なつ。
、なつ...。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
手紙を書こうとしたけれど。
何を書いてるのか分からなくなっちゃった。
1つ、望むのは。
なつ。
ただ。
君に、逢いたい。
君の気配を。
夏の気配を。
気配、を。
感じれたら。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
感じれたら、
いい...のになぁ...。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
説明とかなんとか。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
なつ
僕の幼なじみ。
優しく、可愛らしく。
明るくて、人を傷つけないその笑顔が、
その顔が、性格が。
とても、好きだった。
生まれつき病気持ちで、
学校に行けず、病院に居た。
やりたがってたプリントとかトランプとか
見たがってた本とか持って
たまに病院に行っていた。
どこで学んだのか。基本どれも、強くて。
でも、何も楽しくなさそうで。
そんななつが唯一ハマったのが、
花だった。
病院に行けば、
花の本を読んでるほどの花好きになって。
色んな本を読んでる僕より、
詳しくなっちゃったりして。
良く、
病院の窓から見える庭の花を見て笑ってた。
記憶に1番あるのは、
ひまわりだ。
なつの体調が良くなり。
外へ、少し出れるようになった時。
「ずっと見せたかった景色があるんだ!」
と、近くのひまわり畑を見せた。
光に反射された目は、煌めいて見えて。
付き添いの看護師さんに、
クスッと笑われていた。
それからだった。
どこからともなく。夏になると。
ひまわりの種をくれた。
どこから持ってきたの?と聞いても。
なつは秘密と言っていたが。
僕は知っている。
こっそり看護師さんが教えてくれた。
窓からずっとひまわり畑の方を見てるなつに。
毎回渡してたらしい。
育てられないから僕にくれたのだろうけれど。
気がかりがあるんだ。
その時、言っていた一言。
「お守り」
って。その時は、
一緒にいられるような感じのあれかな?
と思ってた。
そんなことが、何年か続いた。
幸せな夏だったのに。
悲劇は夏に起こる。
初夏。
なつが亡くなった。
様態の急変みたいで。
誰にも、予測できなかったみたいだ。
夜、独りでに息を引き取ったらしい。
看護師さんが来た時には、もう...。
そんなことが起きても。日常は回って。
大人になっても忘れられずにいた。
夏の気配が、初夏が近づく度に。
なつのことを思い出してしまう。
「お守り」の意味はなんだったのか。
買ってきたひまわりの種を育てながら、
考えている。
セミの音がしてきて、
風鈴は気持ちよくなってる。
夏の気配は近づいてくる。
ねぇ、なつ。
もう、逢えないけれどさ。
教えて欲しいな。
あの時の意味。
向日葵のように。
日に向かって、
太陽に向かって、
上を向いて、
前向きに、
歩いていくからさ。
未練がないように。
最後に、教えて欲しいんだ。
ただ、
ただそれだけを手紙で書きたかった。
手紙を書いて、気配を。なつを感じたかった。
でも、感じることはできない。
だから、
"感じれたらいいな"で終わる。
そう、終わる。
何も無く、何も変わらず。
「なつは居ない」
この事実だけが残って。
どうして空はこんなにも。
...こんなにも。
濁っているの?
雨が降る前の。
雨が降った後の。
空なのだから、当然。
当然なのに、聞いてしまう。
誰でもない貴方に。
ねぇ。
どうして、天気は変わるの?
どうして、雨は必要なの?
どうして、空はあんなにも濁ってるの?
そもそも、
色なんて
、
天気なんて
、
答えなんて
、
本当に、あるの?