5/21/2024, 1:28:16 PM
《透明》
透けていく。
だんだん。だんだん。
色も、音も、匂いも。
あなたに触れるこの手さえ。
全部が透けていく。
あなたのことも忘れてしまって・・・
その日、私は空っぽになった。
5/20/2024, 2:13:39 PM
《理想のあなた》
あの子から艶々した髪を。
別のあの子からは大きくてぱっちりした目を。
また別のあの子からは鈴のような声を。
他にも、いろんな子から気に入ったパーツだけを、私に移し替えた。
これで、彼にこの想いを伝えられる。
「好きです!」
「ごめん。君とは付き合えない」
どうして?
私は完璧だったはずなのに。
彼は、私の醜いパーツが沢山移し替えられたあの子を選んだ。
嗚呼、そうだ。
心は入れ替えられないのか。
5/19/2024, 1:40:17 PM
《突然の別れ》
「俺、タイムマシンに乗って結婚前の親見てくるわ!」
隣に住むクラスメイトの渡辺が急にそう言い出した。
「え、やめたほうがいいんじゃ・・・」
次の日、僕はいつも通り学校に行った。
「出席とるぞー。青木!」
いつも通り、名前が読み上げられていく。
「・・・山口、和田!よし、全員いるな!」
いつもの学校生活が、始まった。
5/18/2024, 11:11:03 AM
《恋物語》
「佐藤君ってかっこいいよね!」
違う。
「私、藤田君のこと好きかも・・・」
違う。
違う、違う、違う!!!
何度紡ぎ直しても、君は他の男を好きになる。
もう何度目だろうか。
「ねえ、君って好きな人いるの?」
そう聞けば、僕を見つめて顔を真っ赤にする君。
ああ、やっとだ。
やっと、僕と君の物語が、始まる。
5/18/2024, 9:36:38 AM
《真夜中》
親に秘密でお菓子を食べる。
夫に秘密で少しドライブ。
妻に秘密であの人と会う。
秘密、秘密、秘密・・・
夜は人に秘密を与える。
人々は秘密が与えた小さな幸福を胸に眠りについた。
時計の針は動かない。
真夜中は、終わらない。